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森 好治郎

アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。

09月05日 12:00 マネーフローは「グローバル・リスク・リダクション」の様相に!?

今週の重要イベントの一つであった英欧中銀の金融政策会合は、事前予想通り金利据え置きが決定されたが、トリシェECB総裁が景気の先行きについて下振れリスクの高まりを指摘する一方で、インフレへの警戒も続ける姿勢を強調したことで、利下げ期待の後退が景気悪化懸念を増幅する格好となった。

もう一つの焦点であったECBスタッフによる内部予測は、ユーロ圏経済の成長率を大幅に下方修正する一方、インフレ率を上方修正しており、ユーロ圏経済がスタグフレーションのリスクに直面していることを再認識させている。

こうしたなか、トリシェECB総裁とともにユーロ相場に関する公式発言が認められているユーログループ財務相会合ユンケル議長が、「最近のユーロ/ドルの下落にもかかわらずユーロは依然過大評価されている」との見方を示したため、ユーロ安に拍車を掛けている。

筆者は、英欧金融政策イベント終了後のいったんの持ち高調整を想定していたが、2つの観点から市場の反応を見誤ってしまった。

1つ目は、市場テーマの中心が世界的な景気減速の度合いに集まるなかにあっては、リスク回避の基本フローである「キャッシュ化(=手仕舞い)」「質への逃避(=安全志向)」「ホームバイアス(=母国回帰)」が促されることを軽視してしまったことである。

昨日の東京株式市場では、TOPIX銀行株指数が今年3月半ばの金融危機時の安値を底割れし、“波乱の予兆”を暗示していたが、米雇用統計発表までは大きく動けないだろうと決め付け、黙視してしまった。

しかし、この日の世界の主要株価指数は右表[pdfファイルご参照]に示したように軒並み年初来安値を更新する同時株安に見舞われており、景気敏感株の代表格であるTOPIX銀行株指数は先行指標的な役割を果たしていたことになる。

9月2日付けの当レポートでは、現在の為替マーケットを動かす要因について、@景気循環をテーマとする「非ドル通貨安・ドル高」と、Aリスク回避による「円の全面的な買い戻し」という2つのフローと分析し、この局面でのリスクとして「含み損を抱えたクロス円の持ち高解消ニーズが、最終的に“強制決済”によって『セリング・クライマックス』を引き起こしてしまうこと」と指摘したが、残念ながら本日早朝にみられた急激な円高は起こるべき事象であったといえるかもしれない。

問題はこうしたパニック的な相場が続くかどうかということになるが、仮に今朝のクロス円の急落がセリング・クライマックス的なスクイーズであったならば、経験則からはV字型の反発が期待されることになる。 

但し、早朝の急落時に開けたチャート上のギャップ(窓)をNYクローズベースで埋めることが条件であり、今回の場合は米雇用統計という重要イベントをこなす必要がある。 

8月の雇用統計の事前予想は、NFP(非農業部門雇用者数)が前月比▲7.5万人と8ヶ月連続の減少、失業率が前月と変わらずの5.7%が見込まれている。

米雇用市場の基調をより正確に示すとされる新規失業保険申請者件数の4週間移動平均は、8月の雇用統計に反映される8月3週時点で44.1万件と悪化傾向を示している。

但し、労働省発表の雇用統計は、政府の特別補償プログラムによる新規失業保険申請者の増加の影響は除外されるため、一部では事前予想ほど悪化しない可能性が指摘されている。

とはいえ、失業率は5.7%で高止まりが予想されており、3日にはボストン連銀ローゼングレン総裁が今後6%を突破する可能性があるとの見通しを示していたこともあり、失業率の上振れリスクには留意したい。

足元では、米国株の代表的な投資家センチメント・インディケーターであるVIX指数が24.03と警戒領域とされる25へ急上昇しており、警戒姿勢を強める必要が生じている。

こうした状況下、市場の米金融政策見通しを反映するFFレート先物市場では、わずかながら年内の利下げの可能性を織り込み始めている。

つまり、市場は米国経済の改善ではなく悪化を織り込み始めた証左であり、グローバル・リセッションのリスクが一段と高まっている可能性は念頭に置いておきたい。(⇒クロス円がもっとも売られやすくなる)

そして、筆者がユーロ/ドル相場の見方を誤った2つ目の観点は、エリオット波動分析における小勢波動の起点を昨年12/20の安値1.4310jとしていたことである。

現在の下げ相場は2005年11/15安値1.1640jを起点とする調整であり、現状では38.2% retraceの1.4359j処を達成したにすぎないことになる。 こうした観点からは、スピード調整を交えながらも、一段の値幅調整のリスクは念頭に置いておきたい。  

(9月5日 11:35記)

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