コンテンツへ

森 好治郎

アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。

08月12日 11:59 8月相場のアノマリーは「ドル高の転機」を示唆するが・・・

8月といえば、ドル/円が月足チャートで陰線を出現する確率が最も高い月となっている。

1990年からの過去18年間の陰線出現率は78%と年間で最も高く、1998年からの過去10年間では2006年を除いて全て陰線となっている。 つまり、月初にドル高が進行し、月末にドル安となるパターンであり、市場では「ドル高の転機」のアノマリー(理論的根拠の無い経験則)を有すとして知られている。

米国債の定例利払い・償還が9月中間期末を直後に控えた本邦機関投資家のレパトリ思惑と相俟って、例年3−5円近くのドル安・円高圧力を発生させてきた経緯がある。  また、非居住者が発行してきた円建て外債やユーロ円債の償還も集中し、過去には償還日にかけて突発的な円高要因となってきた。

特に、お盆休み前後に“潮目の変化”が生じることも多く、8月のドル戻り高値は絶好の戻り売り局面として捉えられてきた。

こうしたアノマリーが存在していることもあってか、ドル安・円高論者は「現在のドル高はファンダメンタルズを反映していない」、「雇用情勢は深刻化しており米経済は年後半に失速する」、「ドルは消去法的に買い戻されているだけ」―――などと、依然としてドルの持続的な上昇に懐疑的な見方を示している。 

7月第3週に1j=100円割れは時間の問題と大騒ぎしていた連中は、ドルの下値を105円程度にまで引き上げているが、この間のドル/円は安値103.77円(07/16)から高値110.40円(08/11)まで6.63円も上昇しており、ファンドマネジャーであれば減俸かリストラの対象となっている。

もっとも、彼らのようなドル安・円高論者が存在するおかげで、ドルはむしろ底堅くなっており、現状からさらに一段高となればドルを買い遅れた連中が焦って買い始めるため、オーバーシュート的なドル高が想定されることになる。
 
事実、本邦輸入企業は事業計画の前提となる為替レートを上回っている(⇒採算悪化)ため、ドル買い手当てを前倒しする必要性に駆られるのに対して、輸出企業は焦ってドル売りをする必要はなく、ドルの戻りを見極める余裕が生じている。

これが輸出入企業のリーズ&ラグズ(為替相場の売買の時期を早めたり遅くしたりする動き)であり、ドル高・円安が進展するほど輸入の先行(リーズ)と輸出の遅行(ラグズ)の動きが加速する傾向にある。

一方、ファンダメンタルズ面では、先行してドルの悪材料を織り込んできた反動もあり、足元では事前予想を上回る指標が目立ち始め、市場もポジティブな反応を見せている。
 
悪材料は一度織り込んでしまえば、継続的な売り圧力にはなりにくいものであり、フォワード・ルッキング的な視点が求められるのである。

足元ではSEC(米証券取引委員会)による空売り規制(8月12日に期限切れ)や、FASB(米財務会計基準審議会による金融機関の簿外(オフバランス)資産をバランスシートに反映させるための会計基準変更の実施時期延期などにより、米主要3株価指数は堅調を維持している。

米国株の代表的な投資家センチメント・インディケーターであるシカゴ・ボード・オプション取引所のVIX指数は、7月15日の28.54(ザラバでは30.81)をピークにして、8月11日には20.12(ザラバでは19.66)と「安定」を示唆する20まで低下している。

こうしたなかでドルの対主要通貨相場は全面高の展開となっており、投機的な売買動向の指標となるIMMファンド筋はドルショート・カバーからドルロング構築へと動き始めている。

IMMファンド筋の主要6通貨のロング(買い持ち)とショート(売り持ち)の推移を7月15日時点を100としてみると、ドル買い戻しからドル買い増しへ動いている様子がわかる。

但し、日本円の場合はショートポジションが210.9と7月15日時点の2.1倍に増加しており、重要変化日でもある8月15日に向けて利益確定の円買い戻しが入る可能性には留意したい。

(8月12日 11:20記)

画像入りPDFファイル



>>FXのTOPへ

プライバシーマーク

0120-04-2424
平日 8:00〜18:00
携帯サイト http://trds.jp/

Copyright © 2008 Traders Securities Co., Ltd. All Rights Reserved.