
今週のメインイベントであったFOMC(連邦公開市場委員会)は、事前予想通り2会合連続でFFレートの誘導目標を年2.00%に据え置き、注目の声明はインフレの上振れリスクを重大な懸念としつつ、成長の下振れリスクを復活させ、リスクバランスを均衡させている。
今回の声明文のポイントは、前回6月会合で盛り込まれた「成長への下振れリスクは幾分低下したようだ」との文言と、「インフレとインフレ期待の上振れリスクは高まった」との文言が削除されたことであり、7月にFOMCメンバーの認識が軌道修正されていたことになる。
そして、もう一つの注目点であった利上げ提案は、ダラス連銀フィッシャー総裁の1票だけとなった。 今回の会合では、利上げ提案が2票(⇒中立派のミネアポリス連銀スターン総裁を含めて最大3票)と想定されていたが、タカ派(インフレ警戒派)として知られるフィラデルフィア連銀プロッサー総裁が金利据え置きに賛成したことで、年内の利上げ観測はやや後退している。
市場の米金融政策見通しを反映するFFレート先物市場では、年内の25bpの利上げの確率が前日の104%から92%へ低下、10月までの利上げについても前日の64%から54%へ低下している。 とはいえ、FFレート先物は来年1月末のFOMCでの25bpの利上げを140%の確率で織り込んでおり、8月のFOMC声明は市場の利上げ観測の修正を迫るようなメッセージとは解釈されていないようだ。
こうした状況下、IMM日本円通貨先物市場ではドル高・円安進展と同時に、市場エネルギーのバロメータである総取組高が着実に増加している。 つまり、同市場にドル買い・円売りの資金が積極的に流入していることを示唆するものであり、テクニカル的には6月の戻り高値を上抜くことができるかどうかが焦点となってくる。
インターバンク市場のドル/円は95.77円(03/17)から「複合6」に準じる節目の6月16日に示現した108.59円が重要な戻り高値となっている。
今週の『森レポート(全12頁)』P.7では、「―――当面のリスクシナリオとして重要な戻り高値となっている108.59円(06/16)を上抜けず、ダブル・トップが意識され始めること―――」と指摘したが、早期に108.59円処を上抜かない場合は、足元で積み上がっているとみられる円ショートが手仕舞いを余儀なくされる可能性が高まってくる。
もっとも、ドルの総合的な実力を示すFRB算出の実効為替相場(FRBインデックス)は、7月31日時点で上向きに転じた21日平均線を上抜き、昨日は6月13日の戻り高値72.23を突破している。
FRBインデックスをドル/円の先行指標と捉える場合は、108.59円処を上抜くのは時間の問題とすることができよう。 さらに、マイナス成長となった2007年12月からのFRBインデックスの推移は、米国経済がリセッションに陥った「@1990年7月〜1991年3月の9ヶ月」と「A2001年3月〜11月の9ヶ月」の過去2回の変動パターンの「1990年型」を踏襲していることがわかる。
今回のFOMC声明が再び“景気下振れリスク”に言及したことで、一本調子のドル上昇は期待できないうえ、主要通貨相場が不美人投票の様相を強めていることで、クロス円の調整がドル/円の上値を抑制する要因となってくる。 クロス円の調整が日柄的なものにとどまり、値幅を伴う厳しいものとならない限り、株高を背景とするリスク許容度の高まりが緩やかな円安基調を支えるものとみておきたい。
尚、本日の注目材料は米政府系住宅金融機関フレディマック、金融保証会社アムバック、仏BNPパリバなどの決算発表、そして米週間石油在庫が挙げられよう。 もう一つ加えるならば、米財務省による四半期定例入札であり、本日は10年債としては最大規模の入札(170億j)が行われる。
(8月6日 10:45記)
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