
アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。
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金融セクターに対する根強い懸念が市場センチメントを弱気に傾斜させており、米主要3株価指数は大幅反落、NYダウは前週末比▲239.61jの11,131.08jで取引を終えている。
この日の金融株の売りを加速させ、米主要株価指数の急落のきっかけとなったのは、「米監督機関が地銀2行を閉鎖した」とのニュースだったとの解説がなされている。 もっとも、同報道は日本時間の26日昼過ぎには明らかになっており、すでに米連邦預金保険公社が2行の承継銀行を選定していると報じられていたため、この日のNY序盤の金融株はプラス圏で推移していたのである。
このあと、IMFが世界金融安定報告で「米住宅リセッションには終わりが見えない」と悲観的な見方を示したことや、メリルリンチが「リーマン・ブラザーズは第3四半期に赤字となり、住宅ローン関連で追加評価損を計上する可能性がある」と指摘されたことなどが地合いを一気に悪くしている。
とはいえ、この日のドルの対主要通貨相場は小幅な下落にとどまるなど、底堅さを示している。
米ドルの総合的な実力を示すFRB算出の実効為替相場(FRBインデックス)は、主要通貨ベースでは6日ぶりに小反落したものの、ブロードベースでは5日続伸、他の重要貿易相手国ベースでは5日ぶりに反発しており、一部のアナリストが大騒ぎするほどのドル安とはなっていない。
こうした背景には、過去6年に及ぶ広範なドル安進展により、米企業が買収対象となるなどグローバルなM&Aや投資マネーのフローが大きく変化し始めていることが挙げられよう。
また、米財政赤字が今回の米住宅公社支援法に伴う歳出増や景気減速に伴う歳入減により、過去最大に膨れ上がる見通しとなっており、当局は「強いドル政策」に傾倒せざるを得ないとの見方が暗黙のドルショートの抑止力となっている。
さらに、欧州では景気減速が鮮明となり、英国では住宅バブル崩壊で不動産価格の下落が景気の重しとなり、豪では大手銀で引当金計上の動きが相次ぐなど、為替マーケットは不美人投票の様相を呈しており、IMMファンド筋の持ち高状況は従来の“ドルショート”一辺倒から“ニュートラル”へ変化している。 IMM日本円通貨先物市場では、先週末のドル急反発局面でも取組高が減少しており、引き続きドルショート・カバーが促されていることを示唆している。
今週の『森レポート(全12頁)』P.5でも指摘したが、過去の経験則ではIMMファンド筋の中立姿勢が長く続くことはなく、早晩、新たな動意が生じる可能性には留意したい。
今週は、米国経済の先行きやFEDの緊急避難的な金融政策の正常化プロセスを探る重要指標の発表が目白押しとなっているうえ、欧州では金融機関の決算発表が始まる予定となっている。
(⇒欧州金融機関は、米国に比べて資産評価の甘さが指摘されており、今年4月のワシントンG7が「100日行動課題」のハードルをどう乗り越えるかが焦点となっている)
本日は、米住宅の売買実績に基づいて算出されるS&Pケース・シラー住宅価格指数の5月データが発表される。 全米20都市部を対象にした住宅価格指数は、前年同月比で過去最大の 16%下落が予想されているが、先行指標となる前月比ベースでは下落幅が縮小傾向にあることに注目したい。
そして、コンファレンスボード消費者信頼感指数の7月データが発表される。
事前予想は前回の50.4から50.0への低下が見込まれているが、先週末に発表されたミシガン大学消費者信頼度指数は予想外の改善を示しており、悲観先行による揺り戻しの可能性には留意したい。
(7月29日 11:00記)
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