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森 好治郎

アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。

07月25日 11:52 ファンダメンタルズ悪化でセンチメントは弱気に傾斜

今日はドル/円のチャート分析から。(添付チャートは一目均衡表30分足・Metatrade-4 )

昨日のドル/円は、東京タイムの序盤に107.99円まで上昇したあと107.70円へ反落、このあと再び上値を試したが、上値は107.99円に顔合わせして下落に転じている。

テクニカル分析に精通するものなら見逃すはずのない、同値で上値を抑えられる上値行き詰まりの「毛抜き天井」パターンであり、このあと直近の上昇幅に対する38.2% retraceの107.24円処を達成する107.19円まで下落している。 同水準は23日に下値固めしたサポートエリア(安値は107.17円)となっている。 107円Lowのネックラインが破られると、小勢での「ヘッド・アンド・ショルダーズ」の完成が意識され、106.39円処(=107.19−(107.99⇒107.19))に向けた続落リスクを警戒しなければならない。

とはいえ、107.00円の節目には50.0% retraceの107.02円処や200日平均線の107.01円処が控えている。 200日平均線は、過去1年にわたって戻り上値を抑えてきた頑強なレジスタンスであったが、NYクローズで明確に上抜いたことによりサポートに転換しており、容易に破られることはないとみておきたい。 それ故に、破られた時のインパクトは自ずと大きくなり、ファンダメンタルズ的にも相応のインパクトのある下落要因が新たに浮上している可能性には留意したい。(⇒材料は後から付いてくる)

(ちょっと一言: チャートにはやたらと不必要なラインを引かないことが肝心。シンプルであることが重要であり、見やすくしておかないと機動的なトレードはできない。 また、チャートはできるだけローソク足を使いたい。 15年ほど前になるが、筆者の友人で当時CMEやCBOTのフロアトレーダーであった彼は、米国人はバーチャートとP&F=ポイント&フィギュアを好んで使っていたが、今は日本の伝統あるCandle stick=ローソク足がブームになっていると大絶賛、「酒田五法」の勉強をしたいから書籍を送ってくれと頼まれたことがあった。 私達の先輩が残してくれた伝統あるローソク足を酒田五法とあわせて有効に活用したい)

さて、昨日はファンダメンタルズの悪化を強く意識させる経済指標が幾つも発表され、市場センチメントは早くも弱気に傾斜、欧米株式市場は「ベアマーケット・ラリー」に水を差され全面安、為替市場では円がほぼ全面的に買い戻される展開となった。

米国株の代表的な投資家センチメント・インディケーターであるVIX指数は、「安定」を示唆する20へ低下する前に23.44へ跳ね上がっている。(ご参考: VIX指数のデータ入手先

IMM日本円通貨先物市場では、市場エネルギーのバロメータである取組高は一向に積み上がる気配はなく、07/15をピークにして連日減少している。

昨日発表された主な指標は以下の通り。

英国では6月の小売売上高が前月比▲3.9%と、1986年1月の統計開始以来の大幅な下落。
ユーロ圏では7月の総合PMI景気指数が47.8と2001年11月以来の低水準に落ち込む。
独では7月のIFO景況指数が97.5と、2005年9月以来、ほぼ3年ぶりの低水準に急降下。
米国では6月の中古住宅販売が年率486万戸と1999年の調査開始以来、最低水準に減少。

もっとも、日本もショッキングな指標が発表されている。 6月の貿易統計(速報)では、輸出が2003年11月以来、55ヶ月ぶりに前年割れとなり、4-6月期GDPがマイナス成長に陥る可能性が高まっている。
また、6月の貿易収支は前年同月比▲88.9%の1,386億円と、4ヶ月連続の減少で、エコノミスト予想の4,497億円を大きく下回っている。

今年上半期の貿易黒字も四半期ぶりに減少に転じており、為替需給面での円高圧力の後退を示している。

そして、今朝発表された6月の全国消費者物価指数はコア指数が前年比+1.9%、総合指数が同+2.0%と、景気減速下の物価上昇が鮮明となっている。 預貯金金利が物価上昇率に追いつかない状況(⇒目減りする)にあり、膨大なジャパンマネーの行き先が今後の焦点の一つとなってくる。

因みに、日銀内で最もタカ派に位置付けられている水野審議委員は、昨日の講演で驚くような見解を述べている。 金融政策運営上、景気減速と物価上昇のどちらを重視するのかについて、「―――今は民間景気の下ぶれリスクが高まっているため、景気の下振れリスクに配慮しながら政策運営を行っていくのが適切だ」と述べたほか、どういう状況になれば利上げに動けるのかについて「全くわからない」と述べている。

各国経済の先行き不透明感が強まる状況下、短期的にはリスク回避フローの基本となるポジションの「キャッシュ化」「質への逃避」「ホームバイアス」が想定されるものの、主要通貨相場の優劣は不美人投票の様相となり、日本円の勝者(⇒最弱通貨)としての定位置は不変とみておきたい。

(7月25日 11:10記)

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