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森 好治郎

アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。

07月16日 11:32 繰り返される金融危機相場・・・(2)

為替マーケットは、金融不安の再燃を背景に米ドルが主要通貨に対して全面安となる一方、日本円はリスク回避志向の高まりから全面的に買い戻される展開となった。

ドル/円は、下値許容の限界点105.64円処のブレイクを合図に下げ足を加速し、NY午前中盤には104.16円まで下落幅を拡大した。 

ひとまず、Fibonacci pointの104.11円処(=76.4% of 102.73⇒108.59)で下げ止まり、104円Highへ持ち直しているが、これまでの主要なサポートがレジスタンスに転換しており、チャートの修復には“日柄”或いは“新規手掛かり材料”(⇒ポジティブ・サプライズ)が必要となってくる。

こうした状況下、米国株の投資家センチメント・インディケーターであるVIX指数は、昨日のザラバで30超へ跳ね上がり、一時30.81を示現したが、このあと原油先物の大幅安を受けて終値ベースでは28.54まで低下している。

ニュース番組では、前週末に破たん処理に入ったインディマック・バンコープの前に顧客が列をなす映像が繰り返し放映され、投資家の不安が煽られる格好となっていた。

昨日のコメントでも述べたが、昨年8月以降のVIX指数は信用不安が高まる局面で「株安・ドル安」を伴って「悲観の局地」とされる30超へ急上昇してきたが、この段階では当面の悪材料が織り込まれ、今度は「株高・ドル高」を伴って反転(アク抜け)してきた経緯がある。

現状では、終値ベースで30超に到達していないものの、昨日のザラバでみられた急騰劇は悪材料の織り込み進捗を示すと同時に、米政府に対する強いメッセージでもあり、金融不安の再燃をテーマとする危機相場は終盤とみたい。

つまり、市場が発信するメッセージが米政府・議会の危機意識を一段と強めることになり、これが金融危機の元凶となっている住宅市場の包括的対策の策定につながるということである。

事実、国際金融アナリストは、「4月以降に米議会で議論されてきた包括的な住宅金融対策が法案化される目処が立ったとし、来週初めにはブッシュ大統領に送付される見通しとなった」と述べている。

この中身については、住宅公社2社などGSE(政府系住宅金融機関)に対して連邦政府の直接的な関与を強めることで資本増強を大規模にすることや、差し押さえ物件購入助成金、固定資産税減税、住宅購入者に対する特別戻し減税、―――など、停滞する米住宅市場の活性化を狙った包括的住宅金融パッケージとなっている。

今週後半には米主要金融機関の四半期決算というリスクイベントを控えており、引き続き警戒は怠れないものの、VIX指数の悲観度合いの高まりは悪材料への反応を鈍くさせる一方で、好材料に反応しやすくさせよう。

注目されたバーナンキFEB議長による上院銀行委員会での半期・議会証言では、米金融市場や各機関は依然「かなりの緊張(considerable stress)」の下にあると指摘し、金融市場の安定回復がFRBの最優先事項との認識を示している。

これを受けてFFレート先物市場では、年内の利上げの確率が前日の102%から68%へ急低下している。

しかし、バーナンキ議長の証言内容は、前回2月の証言とは大きく異なり、「インフレ防止は金融政策当局者の重大な責任」と述べ、政策運営の軸足を景気下支えからインフレ警戒へ移していることを示唆している。(⇒同時に公表された経済見通しは、成長率が前回4月時点の0.3〜1.2%から1.0〜1.6%へ上方修正されている)

足元の金融不安の再燃によって「金融市場の正常化」が最優先課題となっているが、証言内容はインフレ警戒に時間を多く割いており、今後の焦点は「金融政策の正常化」のタイミングとすることができよう。

(7月16日 11:45記)

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