
アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。
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GSE(米政府系住宅金融機関)のファニーメイとフレディーマックの財務不安が急速に広がり、週明け早朝(米国時間の日曜日の夜)に緊急支援策が発表されるという異例の展開となった。
これら住宅公社2社は、米政府の住宅金融市場安定化策(3月半ば)に組み込まれ、米住宅ローン市場の受け皿となってきたが、住宅価格が値下がりするなか債務超過が取り沙汰され、「王様(GSE)は裸だ」とする指摘に市場の動揺はおさまらず、公的資金注入の検討に踏み込む声明発表に至っている。
そして、ブッシュ大統領が緊急支援策の実行に向けた議会との早期調整を指示したことで、大統領権限で公的資金注入を実行する決意を示すものと解釈された。
つまり、住宅公社2社が発行する債券に付された「暗黙の政府保証」が「明示的な保証」となったわけであり、「国策に売りなし」との相場格言通り、市場は「株買い・ドル買い」で反応した。
しかし、米金融機関の四半期決算発表を目前に控える状況下、前週末の米大手住宅ローン会社インディマック・バンコープの経営破たんを受けて、多くの地銀が資本不足に陥る可能性があるとの懸念が強まり、金融株主導で売りが再燃している。
米国株の代表的な投資家センチメント・インディケーターであるVIX指数(別名「恐怖指数」)は、週明けに一時29.30と03/19以来の水準に急騰する場面がみられた。 (07/14の終値は28.48)
VIX指数は昨年8月以降、信用不安が高まる局面で「株安・ドル安」を伴って「悲観の局地」とされる30超へ急上昇してきたが、この段階では当面の悪材料が織り込まれ、今度は「株高・ドル高」を伴って反転(アク抜け)している。
こうした観点からは、VIX指数の30超へ向けた一段安のリスクが警戒されるものの、市場センチメントが極度の悲観に傾斜するこの局面は、“悲観の始まり”ではなく“陰の極”と捉える必要があろう。
逆張り的な発想ではあるものの、過去の経験則ではメディアが不安を煽り、市場参加者が弱気一色に傾斜する局面こそがボトムを形成することが多い。
また、ドル/円の日柄に関するアノマリー(理論的根拠の無い経験則)では、「17日」という日柄でボトムを形成していることが多い。 以下に2005年以降の事例をピックアップしたので参考にされたい。
(1)2005年1月17日 135.20円(2002/01/31)⇒101.67円(2005/01/17)
(2)2006年5月17日 121.40円(2005/12/04)⇒108.97円(2006/05/17)
(3)2007年8月17日 124.14円(2007/06/22)⇒111.60円(2007/08/17)
(4)2008年3月17日 117.95円(2007/10/15)⇒ 95.77円(2008/03/17)
今週17日については、16日から17日に日付が変わる日本時間深夜にはドル相場の節目となってきたFRB議長の金融政策に関する半期・議会証言(2日目)が行われるほか、昨年8月からの利下げを休止した6月のFOMC声明が発表される。 そして米国時間の17日にはメリルリンチとJPモルガンの決算発表が行われる予定となっている。 いずれも相場を大きく動かす可能性のある重要イベントといえよう。
但し、今回のドル/円の場合は、下落の起点が108.59円(06/16)であり、過去の大相場における「17日」のアノマリーからは日柄的に短すぎるため、下落期間が8月17日まで継続する可能性も否定できない。
米大統領選挙年のFRBインデックス(ドルの実効為替相場)のシーズナル・サイクルでは、6月をボトムにして9−10月に向けて上昇するパターンがみられているが、今年の変動パターンは3月の金融危機局面を除いては米経済がリセッション入りした1990年と2001年の変動パターンを辿っている。
1990年の場合は7月と10月にドルのボトムを形成し、このあと反発するパターンとなっており、2001年の場合は8月にドルのボトムを形成して反発するパターンとなっている。
いずれの場合も、この7月もしくは8月に重要な安値を付ける可能性が高く、そのマグニチュードは上述した重要イベント次第ということになるため、下振れリスクに対する備えは怠らないようにしたい。
テクニカル的には、ドル/円が下値許容の限界点でもある105.64円処を下抜ける場合は、Fibonacci pointで下げ止まった06/30の安値104.99円を巡る攻防が焦点となってくる。
尚、本日のコメントでは詳細は割愛させていただくが、今週の米週間経済誌バロンズはトップで「米住宅市場は底打ち間近か、各種データが住宅価格の下げ止まり傾向を示唆」との特集記事を組んでいる。
この特集記事を読んで思ったことは、今後発表される住宅関連指標がポジティブ・サプライズを誘発する可能性が高く、米国の潜在的な住宅需要(毎年約300万人の人口が増加)を刺激するきっかけになるというものであった。 ましてや、これからFEDが緊急避難的な金融緩和策の正常化に向けて動き出すとの観測が広がれば、今のうちに住宅を取得しようと考えても不思議ではない。
この7月第3週は、ドル相場にとって極めて重要な位置付けとすることができよう。
(7月15日 11:45記)