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森 好治郎

アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。

07月08日 12:36 米4−6月期決算睨みの神経質な展開へ

週明けのドル/円は、日経平均の続落スタートで106.66円へ軟化したが、前週末の安値手前で下げ渋り、仲値公示前後から俄かに強まったドル買いで21日平均線をあっさり上抜いた。 さらに、日経平均がプラスに転じた午後から上げ足を加速し、欧州序盤には107.69円へ上昇、NYタイムに入って107.75円まで続伸幅を拡大した。 

同水準は、自律反発の目処と位置付けられるRetrace pointの107.74円処(=76.4% of 108.59⇒104.99)に応答する高値であり、上げ渋っていたところに米住宅金融大手の増資を巡る悪材料が飛び込んだ。 

米証券リーマン・ブラザーズのアナリストが、顧客向けのリポートで「提案されている会計基準の変更により、米住宅金融大手ファニーメイとフレディマックが合わせて最大750億jの増資を余儀なくされる可能性がある」との見通しを示したことで、米式市場が金融株中心に売り崩され、ドル/円も一時106.69円まで急落した。

米会計基準については、FASB(米財務会計基準審議会)が先月22日に、米金融機関が簿外で運営する資産運用会社などを連結対象にする改正原案を固めたことが明らかになっており、実現すれば大幅な資本増強や資産圧縮を迫られる可能性があると懸念されていた。 

また、米金融機関の四半期決算の発表を翌週に控えるタイミングでもあり、市場は素直に売りで反応したが、会計基準改正が実施されるとしても来年初め以降であり、これを手掛かりとする売りは一時的とみることができよう。 

とはいえ、米雇用情勢の継続的な悪化で景気の先行きに対する懸念が高まっているうえ、金融機関の財務をめぐる懸念の再燃などで利上げ観測が大きく後退しており、積極的にドルを買い進める材料は見当たらない。 市場の金利観を反映するFFレート先物市場では、年内利上げ観測が2回から1回へ下方修正されている。

つまり、買い戻しを超えた上昇モメンタムは期待できないという解釈になってくる。

昨日みられた広範なドル反発は、筆者の想定を上回るものであったが、それだけ市場がドルショートに傾斜していたということでもある。 事実、CFTCが今朝発表した『Commitments of Traders Report』によれば、07/01時点におけるIMMファンド筋の主要6通貨に対するドルのネット総合ポジションは117.15億jの売り越しとなり、前週からわずか1週で105.55億jものドルショートが拡大していた明らかになっている。

IMMファンド筋の通貨別のネットポジションは、米ドルに対する買いの主体が『日本円』『ユーロ』『スイスフラン』『豪ドル』の4通貨となっている。 (⇒前週までは『ユーロ』と『豪ドル』の2通貨が買い越しで、そのほかの主要4通貨は売り越しとなっていた)

わずか1週間でドルショートが急拡大した背景には、ECB理事会や米雇用統計が米ドルのリスクイベントとして捉えられていたと考えられ、イベント終了後にはショート・カバーが誘発されたとみることができよう。

問題はドル買い戻し一巡後の展開となるが、本日のアルミ大手アルコアから始まる米主要企業の4−6月期決算が当面のリスクイベントとして捉えられており、来週の主要金融機関の決算発表が終わるまでは、株価睨みの神経質な相場展開が想定されよう。

アナリスト等の大胆な業績悪化見通しが相次いだため、NYダウは6月としては78年ぶりの大幅な下落となり、高値からの下落率が7月2日時点で20.8%に達し弱気相場入りしている。

これに対して、より幅広い業種を網羅する主要500社構成のS&P500種株価指数は、高値からの下落率が19.3%と弱気相場入りの定義の20%超を免れている。

米株価指数先物におけるファンド筋のネットポジション(7月1日時点)は、NYダウが2週連続の売り越しとなる一方、S&P500は2週連続の買い越しとなっている。

ファンドマネジャー等のベンチマーク(運用評価の目安)とされているS&P500が買い越しに転じていることは、悪材料の織り込み進捗と読むこともできるが、S&P500の利益見通しは1ヶ月前の7〜8%の減益から足元では12.4%の減益に大幅下方修正されており、予断を許さない状況にあるといえよう。

まずは、今晩の米株式市場の引け後に発表されるアルコアの決算内容が注目され、経営トップによる先行き見通しが株価とドルの方向性を左右することになろう。

(7月8日 11:35記)

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