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森 好治郎

アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。

07月04日 11:51 二大イベント終了で次なるテーマは!?

ドル安の行方を決する天王山と位置付けたECB理事会と米雇用統計は、“Sell on rumor, Buy on fact”のセオリー通りの展開でドルが全面的に買い戻されている。

まず、ECB理事会は大方の予想通り昨年6月以来13ヶ月ぶりに25bpの利上げを決定、政策発表直前に1.5910jまで上昇していたユーロ/ドルは、前日に利上げ幅が50bpになるとの見方が浮上していたこともあり一段高には至らなかった。
 
この15分後に発表された6月の米雇用統計は、NFP(非農業部門雇用者数)が前月比▲6.2万人と事前予想の▲6万人とほぼ一致、過去2か月分に計5.2万人の下方修正が加えられたが、「投資家は雇用減少が5年ぶりに10万人を超える事態に備えるべき」(メリルリンチ)との見方が警戒されていたため、むしろ予想ほど悪くないとの解釈からドルのショート・カバーが誘発されている。

そして、このあとトリシェECB総裁が記者会見で、「今回の決定を踏まえ、金融政策は物価安定目標の達成に寄与するだろう」、「ここからはバイアスは持っていない」と述べたことで早期利上げ観測が後退、イベント終了による材料出尽くし感も手伝ってユーロ売り(ドル買い戻し)に拍車が掛かった。

とはいえ、この日のドル反発は織り込み過ぎたドル悲観論の反動修正に過ぎず、次なるリスクイベントとなる米主要企業および金融機関の4−6月期決算に備える必要がありそうだ。

米金融資本市場は、決算悪化(見通し)の織り込み相場が四半期ごとに繰り返されており、足元ではアナリスト等が競うように業績を下方修正しており、決算が発表されるまでは神経質な相場展開を余儀なくされそうだ。

こうした状況下、昨日発表された6月のISM非製造業景気指数は、「景気指数」が49.9と5ヶ月ぶりに50を下回る一方、インフレ圧力を示す「価格指数」が84.5と統計開始以来の最高水準へ跳ね上がっている。 米債券市場では、2年債利回りが景気後退リスクを織り込む形で2.5533%へ低下したのに対し、10年債利回りはインフレ懸念を背景に3.9905%へ上昇しており、10年債と2年債のイールドスプレッドは約1ヶ月ぶりに1.437%へ拡大(スティープニング化)している。

イールドカーブのスティープニング化は、今年3月までの「ブル・スティープ(=短期金利低下幅>長期金利低下幅)」から「ベア・スティープ(=短期金利上昇幅<長期金利上昇幅)」へ変質しており、スタグフレーションのリスクを示唆しているといえよう。

ドルの総合的な実力を示すFRB算出の実効為替相場(FRBインデックス)は、3月の金融危機局面を除くと前回リセッションを経験した2001年の変動パターンを辿っていることがわかる。 つまり、7月は前月比で若干のドル高を維持するものの、8月にドル安の試練を迎えることを示唆している。

8月相場のアノマリー(⇒ドル反落)については別の機会に採り上げるとして、今回はECB理事会について少しだけふれておきたい。 

例年8月のECB理事会は夏季休暇入り前とあって電話会議方式で開催されるが、今年は会議方式に変更されており、この間に発表されるインフレ指標や原油相場の動向次第では追加利上げの思惑を高めることになる。 インフレ指標が遅行指数であることからすれば、インフレ沈静の前に上振れの可能性の方が高く、グローバル・インフレをテーマとする相場展開(⇒日本円は最弱通貨の位置付け)が続くものとみておきたい。

(7月4日 11:35記)

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