
アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。
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昨日の為替マーケットは、豪準備銀声明がハト派寄りの内容となったことを受けた豪ドル主導のクロス円の売りや欧州系金融機関の格下げの噂でリスク回避フローが強まり、NY序盤には105.23円まで下落した。
このあと米6月ISM製造業景気指数が50.2と5ヶ月ぶりに景気拡大・縮小の分岐点50を上回ったことで106.23円へ急伸したが、主要3項目では「生産」が小幅上昇したものの、「新規受注」が小幅悪化で7ヶ月連続の50割れ、そして「雇用」が43.7へ大幅に悪化しており、105.45円へ引き戻された。
しかし、もう一つの焦点であった米自動車最大手ゼネラルモーターズの6月の国内販売台数が予想ほど悪化しなかったことをきっかけにNYダウが上昇に転じたことで、106円台へ急速に買い戻されている。
東京午後終盤からのドル売り仕掛けは3営業日連続であったが、昨日は直近の安値を更新するという悪循環はひとまず断ち切られており、テクニカル的には下値固めができるかどうかが焦点となってくる。
現状では、金融セクターの財務の健全性に対する懸念の再燃や原油高騰に伴うインフレ圧力の増幅、米景気低迷の長期化観測など悪材料に事欠かないものの、市場では変化の胎動が生じている。
その一つが、米国株の代表的な投資家センチメント・インディケーターであるVIX指数(別名「恐怖心理指数」)の上げ渋りである。
NYダウは6月の1ヶ月間に10.2%下落し、金融恐慌を織り込んだ3月の安値をあっさり割り込んでいるものの、VIX指数は23.65にとどまっている。 昨年8月以降のVIX指数は、信用収縮不安を映して極度の悲観を示す「30」を4度(⇒8月・11月・1月・3月)上回った経緯があり、現状での指数の落ち着きは過去4度の危機的局面とは異なっていることを示している。
政策面での違いを挙れば、FEDによる非伝統的な流動性供給策というセーフティーネットが張られていることや、金融システム安定維持のためにFRBが担う規制上の役割が拡大されようとしていることがある。 後者のFRBの役割拡大は、ベアーショックの教訓から財務省主導で議論がなされてきた2つ目のセーフティーネットと捉えることもでき、本日のロンドン講演でポールソン米財務長官が詳述する予定となっている。 本日のポールソン長官の発言は市場に対して安心感を与えるものと期待されよう。
米金融株は、今月半ばの金融機関の決算発表を前にアナリストラ等が一段の評価損拡大や業績悪化見通しを宣伝したため、大幅に売り込まれてきたが、昨日の米株式市場では金融株に値頃感の買いが入り、原油高を巡る懸念を相殺する格好となっている。
こうした動きは、悪材料の織り込み進捗による“潮目の変化”を示唆するものと捉えることができよう。
米ドル相場の行方については、明日の天王山を乗り切るまでは下振れリスクに対する警戒が怠れないものの、弱気派が多くなってきたのは反発が近い証拠でもあり、「戻り売り」から「押し目買い」へギアチェンジの準備をしておきたい。
(7月2日 11:10記)