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森 好治郎

アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。

05月16日 12:36 為替マーケットはレンジ取引の域を出ず!?

TGIF(=Thanks God it‘s Friday!)、早いもので今日はもう金曜日。 

今週の為替マーケットを振り返って見ると、米ドルはカナダドルを除く主要6通貨に対して堅調を維持し、日本円は最近の取引レンジ内で全面安となっている。 筆者がトレーディング用に使用する「一目均衡表30分足チャート」は激しく上下の振幅を繰り返している様子を映している。 

時間替わりの材料に反応して乱高下を繰り返しているものの、最近の取引レンジをブレイクするには至っておらず、決定力のある新たな市場テーマを待つ状態にあるといえよう。

こうした状況下、昨日は今後の相場展開を占う上で注目すべき動きがみられている。

まず、昨日発表された独1−3月期GDPが前期比+1.5%と市場予想の倍の伸びを示したが、ユーロ買いの動きは一時的で対ドルでは1.5547jが戻り高値(12日の高値1.5571jに届かず)となり、NY終盤には1.5419jへ反落している。

この日発表された仏とユーロ圏の1−3月期GDPも市場予想を上回る伸びを示したが、トリシェECB総裁が「4−6月期や下半期は1−3月期の底堅い成長は維持できない」と述べているように、成長期待という観点からは投資マネーを呼び込むインセンティブに欠けるという解釈になる。

年初来の世界の主要株指数の推移を見ると、右グラフが示すように最もパフォーマンスが悪いのは独DAXの▲12.23%、続いて仏の▲9.91%となっており、サブプライムローン問題の震源地である米国の主要3株価指数はNASDAQが▲4.47%、S&P500が▲3.05%、NYダウが▲2.05%と、二桁あったマイナス幅が急速に解消されつつある。

株価は景気より半年程度先行する傾向があるといわれていることからすれば、米欧株価のパフォーマンスの格差は、マクロ政策の違いで説明することができる。

ECBはインフレ警戒姿勢が堅持され、政策金利は昨年6月の4.00%から据え置かれている。

これに対して、FEDは積極的かつ大胆な利下げで昨年9月からの累積利下げ幅は325bpに達し、実質政策金利はマイナスの領域に入っており、年後半は金融緩和効果が表面化し始めることになる。

加えて、4月末からは「戻し減税」の小切手の振込みや送付が前倒しで実施されているのである。
 
昨日発表された米経済指標を見ると、5月のNY連銀製造業業況指数が▲3.23と4月の+0.63から再びマイナスに転じたほか、4月の鉱工業生産指数は前月比▲0.7%と、4月の+0.2%からマイナスに転じた。 また、5月のフィラデルフィア地区連銀業況指数は4月から改善したものの、6ヶ月連続のマイナスとなるなど、足元の生産活動が縮小していることを示した。 市場はこられ指標発表を受けてドル売りで反応したものの、米主要3株価指数の上昇を好感して急速に買い戻されている。

この日の米株式市場は、原油相場の急落や景気敏感株である物流・輸送など小型株の堅調を好感して買われている。 さらに、注目されるのは久しぶりにM&A関連のニュースが市場を賑わせており、投資マネーが動き始めた兆候という指摘も聞かれていた。

米国株の代表的な投資家センチメント・インディケーターであるVIX指数(別名「恐怖指数」)は15日時点で16.3と、「安定」を示唆する20割れが11営業日続き、昨年10月9日以来の水準まで改善している。

メリルリンチが14日発表した5月ファンドマネジャー調査によると、キャッシュ配分比率のオーバーウェートが2ヶ月連続で低下しており、投資家のリスク許容度の改善を背景に株式投資の選好度が高まったことを示した。 今後12ヶ月で最もオーバーウェートにしたい株式市場は「米国」「新興国」と続く一方、アンダーウェートが「英国」「ユーロ圏」となっており、足元のドル高・欧州通貨安を正当化する格好となっている。 

問題は、ファンディング通貨の日本円を左右する投資家のリスク志向の持続性であり、同調査における金融市場の安定性に影響を与える潜在的リスクのネットバランスは「信用リスク」「カウンターパーティ・リスク(=デフォルトリスク)」「景気サイクルのリスク」が引き続き警戒されていることを示している。

株高や円安の原動力となる流動性は“最も不都合な時に消え去るもの”であり、当面はウォール街の5月の相場格言を念頭に置いた、短期利ざや狙いのトレードに徹することとしたい。 

(5月16日 11:20記)

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