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森 好治郎

アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。

05月09日 11:39 楽観論の修正、世界的な景気減速を織り込む動きへ

今週のリスクイベントと位置付けたECB理事会では11ヶ月連続で政策金利が据え置かれ、注目のトリシェ総裁の記者会見は「物価安定が引き続き最大の優先事項」と従来のインフレ警戒姿勢を堅持したことから、対ドルでのユーロ買い戻しが促される格好となった。

トリシェ総裁は、エネルギー・食品価格高を背景にユーロ圏は依然、高インフレの「長引く期間」に直面するとしており、市場での早期利下げ観測は第3四半期へと後退させている。

ECBは「中期的に物価安定を維持することがわれわれの責務に基づく第一の目標」としており、今後数ヶ月は現行4%の金利水準を維持するなかで、景気減速がインフレ圧力を沈静するかどうかを見極めることになりそうだ。 (⇒現状では「利上げ」の選択肢がないため「様子見」せざるを得ないジレンマを抱えているといえよう)

こうした状況下、市場の関心は原油価格高騰など資源インフレに伴う世界的な景気減速に向かっており、株式市場も不安定な値動きとなっている。

昨日発表された米4月小売り既存店売上高は、国際ショッピングセンター集計で前年同月比+3.6%、トムソン・ロイター集計で同+3.3%と、市場予想の同+2.5%を大幅に上回った。

しかし、内情はカレンダー要因に伴う押し上げ効果と、景気減速やエネルギー価格高騰に伴う購買力の低下でディスカウントストアの売上が中心となっている。

この日は原油先物が終値ベースで最高値を更新しており、本来であればインフレ懸念から長期金利上昇が促される局面であるが、インフレ動向に左右される10年債利回りは3.7823%と前日の3.8495%から大きく低下している。

また、市場の金利観を反映するFFレート先物市場では、原油価格高騰に伴う景気下押し懸念や証券化商品問題など不確実性要因から早期の利下げ打ち止め観測が後退している。

ここで注目されるのは円の対主要通貨相場であり、先週末05/02からの騰落率をみると円が全面高となっていることがわかる。

円高進行は、景気減速が目立ち始めた通貨に対して顕著となっており、米景気減速が主要国に波及し始めていることを織り込む動きといえよう。

ファンディング通貨の位置付けにある日本円は、世界経済が拡大を維持する局面では資産価格の上昇と歩調を合わせて円安が進行したが、縮小均衡に向かう局面では円高圧力を受けやすくなるといえよう。

来週は主要各国の物価および景気指標の発表が目白押しとなっているが、これら指標に対する市場の反応が従来以上に増幅する可能性は念頭に置いておきたい。

(5月9日 10:45記)

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