
アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。
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昨日のドル/円は、米1−3月期GDP速報値や4月のシカゴPMI景気指数が事前予想を上回ったことからFEDの利下げ打ち止め期待が一段と高まり、一時104.89円と2月29日以来のドル高・円安水準を示現した。 “戻り売りの急所”とした104.95円(01/23)までわずか0.06円に迫ったが、エリオット波動分析の「1波と4波は重ならない」とのルールには抵触しておらず、下落波動がなお継続していることを示唆している。
さて、昨日は日銀が半年に1度発表する「展望リポート」(経済・物価情勢の展望)で景気について、上振れリスクよりも下振れリスクを明確に意識しているとして、生産・所得・支出の好循環メカニズムの記述を削除、従来の「金利正常化」路線を棚上げし、「中立路線」に軌道修正した。
白川日銀総裁は4月のワシントンG7に出席し、主要各国の政策当局者等と緊密な情報交換をしているはずであり、今回の「金利正常化」路線の事実上の断念は米国経済や国際金融資本市場を巡る不確実性、原油価格高騰などに起因する下振れリスクを看過できないと判断したにほかならない。
こうした観点からは、FOMC(連邦公開市場委員会)が市場の楽観見通しを追認し、一連の利下げサイクルを休止するシグナルを発信することは政策に対する信認を揺るがすリスクを伴う。
(⇒昨年12月のFOMCで利下げ幅を小幅にとどめた結果、“Behind the curve”に陥り、今年1月からの大幅利下げを余儀なくされる格好となった)
FOMCはこの日の会合で、事前予想通り最重要の政策金利・FFレートの誘導目標を25bp引き下げ、年率2.00%とすることを8対2で決定した。
注目の声明は、「成長に対する下振れリスクは引き続き存在する」との文言を削除し、リスクバランスを均衡化しているが、根底にある景気認識は「金融市場は引き続きかなりの緊張下にあり、信用状況の縮小や住宅市場の一段の収縮は今後数四半期にわたり経済成長を圧迫する可能性が高い」との厳しいものとなっている。
このため、市場の米金融政策見通しを反映するFFレート先物市場では、次回6月のFOMCで25bpの追加利下げが行われる可能性を22%の確率で織り込んでいる。(⇒前日は同確率が4%だった)
つまり、今回のFOMC声明は市場が期待するほど楽観的ではなく、利下げ休止のサインも明確でなかったと解釈されたわけであり、早期利下げ打ち止めをテーマとするドル買い戻しはひとまず収束することになろう。 当面は米マクロ指標を睨みながらFEDの次の一手を探ることになるが、さっそく本日は米国経済の重要先行指標であるISM製造業景気指数、明日は雇用統計の4月データが発表される。
FOMC声明が指摘するように、これまでの大幅利下げや流動性対策の効果が経済活動に対するリスクを軽減し、緩やかな成長を促進しているかを見極めることになる。
足元では、米国株の代表的な投資家センチメント・インディケーターであるVIX指数が20.79と再び警戒領域の20台へ上昇するなど、潮目の変化を示唆している。 米主要3株価指数は買い疲れの反動もあり、先週までとは異なって好材料よりも悪材料に反応しやすくなっている可能性には留意したい。
(5月1日 11:20記)