
アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。
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今週の為替マーケットは、米ドルが対欧州通貨で続伸する一方、日本円がクロス取引主導で全面的に買い戻される展開となっている。
市場の関心は本日2日目を迎えるFOMCの政策判断と声明文に向けられているため、一方的な値動きには歯止めが掛かり、昨日のNY中盤からは反動的な円安が進行している。
FOMCの政策判断については、25bpの追加利下げを最後に一連の利下げサイクルが休止され、当面は昨年9月からの累積利下げの効果を検証するというのがコンセンサスとなっている。
市場の米金融政策見通しを反映するFFレート先物市場は、25bpの小幅利下げ=80%、金利据え置き=20%、50bpの大幅利下げ=0%という織り込み度合いを示しており、2.00%への追加利下げの確率が先週末よりわずかに高まっている。 とはいえ、「ベアー・スターンズ・ショック(03/16)」直後の3月17日時点ではFFレートが1.50%まで引き下げられるとの見方が織り込まれていたわけであり、この間の市場の金利観の変化が急速なドル買い戻しを促したことになる。
市場の金利観を変化させた最大の要因は、米主要金融機関の1−3月期決算が警戒されたほど悪くなく、事前予想を上回るものも存在したことで、最悪期を脱しつつあるとの見方が醸成されていったことにある。
しかし、サブプライムローン問題の根っこにある住宅価格に下げ止まりの兆しは見えておらず、マクロ経済の悪化に伴ってむしろ住宅差し押さえ件数が増加している。 昨日発表されたS&Pケース・シラー住宅価格指数は、2月の米1戸建て中古住宅価格が主要20都市ベースで前年比▲12.7%の190.58と、主要20都市中17都市で過去最大の下落していたことが示されている。 同住宅価格指数の先物市場では、2月時点の190.58から2009年5月の168.0までさらに11.8%の大幅な下落が織り込まれている。
住宅価格の下落は、潜在的な住宅需要を高めるとの見方から底入れ時期を早めるとの楽観論も聞かれるが、米消費者マインドが悪化傾向にある状況下では住宅市場の底上げにつながる需要は期待しづらい。
ロイター/ミシガン大学が先週末に発表した4月の米消費者信頼感指数(確報値)は62.6と、1982年3月に付けた62.0以来の低水準となっているほか、コンファレンスボードが昨日発表した4月の米消費者信頼感指数は62.3と、2003年3月以来の水準に低下している。
今週末には4月の雇用統計が発表されるが、NFP(非農業部門雇用者数)は前月比▲8万人と4ヶ月連続の減少が見込まれており、雇用情勢に改善の兆しが見えない限り、住宅市場やマクロ経済の縮小均衡が続くことになろう。
今回のFOMCでは、こうした現状を踏まえた景気と物価のリスクバランスが焦点となってくる。
前回3月会合では、「景気の先行きが一段と弱く金融市場は強い緊張下にある」との認識を示しながらもインフレに関する記述を顕著に増やし、リスクバランスを「中立」方向へ微妙に近づけていた。
この点については、FOMCメンバーのうち2名が大幅利下げに反対票を投じていたという事情から、インフレ警戒を強めるメンバーへの配慮が微妙なリスクバランスの修正につながったとする見方が存在している。
今回の声明文が、景気と物価のリスクバランスにおいてインフレ警戒感をより強く打ち出す場合には、むしろスタグフレーションのリスクが意識されるため、持続的なドル買いとはなりづらい。
持続的なドル買いを促すベストシナリオは、声明が信用収縮や景気への警戒感を緩和すると同時に、インフレ警戒感も緩めることであるが、FOMCメンバー等は講演を通じて景気下振れとインフレ高進のリスクに言及しており、ジレンマを抱える苦しい事情を露見するリスクを孕んでいるといえよう。
こうした観点からは、今回のFOMCが25bpの小幅な利下げにとどめ、声明文がリスクバランスを均衡させ当面の金利据え置きを示唆したとしても、市場の関心は米国経済の重要先行指標であるISM製造業景気指数(05/01)やFRBがインフレ指標として注視するコアPCE価格指数、そして雇用統計(05/02)に向かうため、仮にドル買いで反応したと一時的な動きにとどまるものとみておきたい。
尚、本日午後には日銀が今後の政策を見極める上でみているシナリオとリスク判断を示す「展望リポート」が発表される。 リスクシナリオのなかで米国経済をどのように位置付けているのか、今晩のFOMC声明のバイアスを占う上で注目されよう。 特に「展望リポート」を受けた欧州勢の反応に注目したい。
(4月30日 11:20記)