
アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。
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ユーロ/ドルの帰趨を占う上で注目された独4月IFO景況指数は、前月の104.8から2年3ヶ月ぶりの低水準となる102.4へ低下するネガティブな内容となった。 同指数を巡っては事前に103台へ悪化するとの憶測が出回り、ユーロ売り仕掛けが先行していたが、“ウィスパー・ナンバー”(市場での真のコンセンサス)よりも悪化したため“アク抜け”とはならず、“失望売り”に拍車を掛ける格好となった。
ユーロ/ドルは、上昇ウェッジの下限=1.5792j処があっさり破られ、一時1.5638jまで続落幅を拡大した。 注目のNYクローズは日足均衡表の『基準線』(=1.5681j処)でサポートされ1.5683jで着地しており、筆者が重視する『遅行線』は日々線との衝突という事態には直面していない。
とはいえ、NYクローズで早期に1.58jMidを回復しない限り、『遅行線』と日々線の衝突は避けられず、強力な売りシグナルを点灯することなる。
この場合、2000年10月を起点とするエリオット波動分析(=NYクローズベース)では、<第5波>のExtension(衝撃波)B−Dから調整のC波へ移行する可能性が高まってくる。 (⇒調整C波のあとにはD波により衝撃波が再開することになる)
ところで、昨日の東京タイムでは米WSJ紙の著名FEDウォッチャーが「FEDは来週のFOMCで2.00%への利下げを決定したあとは、これまでの利下げ効果を検証する様子見スタンスに転じる」との見方を示したことがドル買い戻しを促す手掛かり材料とされていた。
こうした見方は、最強のFEDウォッチャーであるFFレート先物市場が1週間前から示しており、サプライズを誘う内容ではなかったものの、米WSJ紙の記事はFOMC開催前の“ブラックアウト期間”(⇒公式、非公式を問わず、金融政策に関する対外的な情報発信を控える発言自粛期間)における計算された“メディアリーク”と捉えられたからこそ市場はドル買いで反応したといえよう。
金融政策の変わり目は資金の流れを大きく変えるリスクイベントとなるため、綿密に計算されたメディアリークにより地ならしが始まったといえるかもしれない。
マクロ経済の下振れリスクに対しては、最重要のFFレートが実質マイナス金利の2.00%まで引き下げられる見通しになっており、信用収縮や流動性不安に対しては3月に創設した「ターム証券貸出制度」(=TSLF: Term Security Lending Facility)や「プライマリーディーラー向け連銀窓口貸出制度」(PDCF)によりセーフティネットが張られている。
つまり、今後は政策効果の検証とインフレリスクを警戒する局面に移行するとのメッセージであり、昨日の米株式市場はこうした見方に失望することなく主要3株価指数が揃って上昇している。
米国株の代表的な投資家センチメント・インディケーターであるVIX指数は20.06と、昨年12月26日以来の水準まで低下しており、利下げ催促相場の様相で「ドル安・株安」の悪循環にあった先月からはセンチメントが大きく改善し、昨日は長短金利が上昇するなか「株高・ドル高」が進展している。
こうした状況下、昨日発表された米新規失業保険申請者件数(4月19日までの週)は前週比▲3.3万件の34.2万件に急減し、雇用情勢を映す4週間移動平均も4月1週をピークにして減少しており、雇用不安を和らげる格好となっている。
また、3月耐久財受注では、設備投資の先行指標となる「民間航空機を除く非国防資本財」の受注が前月比横ばいと、決して強い内容ではなかったものの悪化に歯止めが掛かるなど、昨年9月を起点とするFEDの累積利下げの効果が表面化し始めた可能性が指摘されよう。
現状では、3月の米新築一戸建て住宅販売が大幅に落ち込むなど、サブプライムローン問題の根源である住宅市場に底入れの兆しはみられていないものの、昨年9月からの大幅利下げや5月からの大型減税、そして広範なドル安進展による浮揚効果がタイムラグを経て表面化してくることになる。
これに対してユーロ圏はECBによるインフレ警戒による金利据え置きや歴史的なユーロ高進展による引き締め圧力が表面化してくることになる。
昨日のIFO景況指数の大幅な悪化は、その兆候であった可能性が指摘され、当面の主要通貨相場の優劣は不人気投票の勝者選び的な様相を呈すことになろう。 この場合、米ドルの修正的な買い戻しが想定されるものの、ドル/円はクロス円で想定される売り圧力との綱引き相場が続くものとみておきたい。
(4月25日 11:30記)