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森 好治郎

アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。

04月23日 11:52 悪い金利の上昇抑止でドルのトークアップも

昨日はECB高官等のインフレ警戒発言が相次ぎ俄かに利上げ観測が浮上し、ユーロの総合的な実力を示すECB算出の実効為替相場は連日の最高値を更新、ユーロ/ドルも節目の1.6000jを突破して一時1.6020jを示現した。

「ユーロ シッカリ、ボク ガッポリ」と韻を踏みたいところだが、今週の『森レポート(全12頁)』P.9で述べた通り「ダイアゴナル・トライアングル(=上昇ウェッジ)」は“弱気パターン”であり、高値示現後の急落も警戒する必要がある。

したがって、「ユーロ ユックリ、ボク ガッカリ」ではなく「ユーロ シッソク、ボク ナットク」と上昇ウェッジ完成後の展開もイメージしておきたい。

とはいえ、現段階では明確な売りシグナルは点灯しておらず、IMMユーロ先物市場ではユーロ高進展と同時に市場エネルギーのバロメータである総取組高が増加しており、ユーロ買いの資金が積極的に流入していることを示している。

つまり、ユーロの上昇トレンドを裏付けており、“Trend is your friend”の観点からは流れに逆らうことは得策ではなく、当面の波動目標となるN-計算値の1.6066j処を目指す展開を想定しておきたい。 (⇒ファンダメンタルズ面で裏付けのない“値頃感”はできるだけ排除する必要がある。)

ところで、ECB高官はインフレ警戒で足並みを揃えているが、これはハイパーインフレに見舞われた歴史的な教訓からであり、ECBは通貨統合の憲法と位置づけられるマーストリヒト条約で「中期的な物価安定の実現」を唯一の政策目標として要請されているのである。

インフレが加速すれば、制御不能な長期金利の急騰を抑え込むためより大幅な利上げを余儀なくされることになり、新たな金融危機(⇒ヘッジファンド破たんなど過去の金融危機の多くは金融引き締めと連動してきた)となりかねない。 

こうした実体経済への膨大なコストやダメージを回避するため、セントラルバンカーは安易にインフレ警戒姿勢を緩めることができないのである。

3月のユーロ圏15カ国のEU基準消費者物価指数(CPI)は前年比+3.6%と過去最高水準を更新しており、ECBが物価安定と考える「2%に限りなく近い1%台」の上限を上振れた状態が続いている。

しかも、足元では原油先物が連日最高値を更新しており、インフレ警戒を優先せざるを得ない状況にある。

最近のユーロ相場は、ジレンマを抱える当局の政策スタンスを試すような動きとなっているが、ここにきて米国では悪い金利上昇の兆候が出始めており、ドル安放置「⇒ビナインネグレクト(華麗なる相場黙認)」に変化が生じるかどうか一つの節目を迎えているといえよう。

米債券市場では政策金利の動向に敏感な2年債利回りが連日上昇しており、FFレート先物市場でも早期の利下げ打ち止めと秋口からの利上げの可能性を織り込み始めている。

足元の金利上昇が米景気回復を先取りする動きであれば歓迎されるものの、米主要企業の1−3月期決算では先行き見通しについては景気不透明感から慎重姿勢がとられている。

金利上昇は銀行や企業の調達コスト上昇を通じて、一段の景気の重しとなりかねず、金利上昇抑止でドルのトークアップが促される可能性には留意したい。
 
(4月23日 11:35記)

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