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森 好治郎

アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。

04月18日 11:43 市場センチメントと金利観が激変

今週最大の注目イベントであった主要金融機関を含む「米1−3月期企業決算」は、これまでのところ“ネガティブ・サプライズ”とはならず、事前予想が慎重で警戒感が強かった反動からむしろ“ポジティブ”に捉えられている。

昨日発表された米大手証券メリルリンチの1−3月期決算は3・四半期連続の赤字となったが、サブプライムローン関連の損失が66億jと観測報道(60〜80億j)の中間以下にとどまったことや、不採算部門のリストラが好感されている。

先週末のワシントンG7後からの為替動向を見ると、ファンディング通貨の日本円が全面安の展開となっている。 また、超低金利の仲間入りをしている米ドルも日本円・スイスフラン・NZjを除く主要通貨に対して売られている。

この間に大きく変化しているのは、米金融政策に対する“市場の金利観”である。

FRBが16日に発表したベージュブック(米地区連銀経済報告=今月末のFOMCでの政策判断材料となる)は、内需の柱である個人消費の不振に加え、金融不安の悪影響が貸し渋りを通じて実体経済に波及するリスクが指摘された。

そして、フィラデルフィア連銀が17日に発表した4月の製造業業況指数(=フィリー指数)はマイナス24.9と、3月のマイナス17.4から一段と悪化し、2001年3月以来の低水準となった。

15日に発表されたエンパイア・ステート指数(=NY連銀製造業景況指数)は大幅改善を示していたが、フィリー指数は全米ベースのISM製造業景気指数の先行指標と位置付けられているだけに、ネガティブな反応を示しても不思議ではなかった。 

しかし、市場の金利観を正確に映し出す最強のFEDウォッチャーであるFFレート先物市場は、添付したグラフが示すように今月末のFOMCについて25bpの追加利下げを確実視した上で、50bpの大幅利下げの確率は18%と先週末時点の46%から急低下している。  しかも、4月のFOMCで25bpの追加利下げを最後に打ち止めされるとの見方を示しており、この4日間で市場センチメントや金利観が激変していることを示している。

米金融政策に対する市場の金利観が、実質金利マイナス金利に向けた大幅利下げから今月末の25bpの利下げで打ち止めへと変化は、3月の「金融危機」で広がった過度な悲観の揺り戻しであり、VIX指数(=恐怖指数)は3月17日の32.24がピークとなり20.37まで急降下している。

警戒領域とされる20をわずかに上回っているものの、同指数の低下は投資家センチメントの好転を示すものであり、“リスク許容度”につながってくる。

VIX指数が上昇する局面では、“リスク回避”の典型である「キャッシュ化(=手仕舞い)」「質への逃避(=安全志向)」「ホームバイアス(=母国回帰)」が促されたが、“リスク許容度”が高まればリスク回避と逆のマネーフローが期待されることになる。

つまり、主要通貨の序列は景況感や金利差をより反映したものとなりやすく、ファンディング通貨グループの「日本円」「米ドル」「スイスフラン」が「ユーロ」や「豪ドル」に対して売られやすい地合いが続くことになろう。

昨日のドル/円は、注目された『遅行線』が日々線を上抜けて“強気シグナル”を点灯している。また、実線(日足)は114.66円(12/27)を起点とする『下降チャネル』の上限を抜きかかっており、『転換線』がサポートとなる場合は『抵抗帯』を上抜けるのは時間の問題となり、早晩、「三役揃い踏み」による“買いシグナル”の点灯も視野に入ってくる。

但し、インターバンク市場の縮図であるIMM日本円通貨先物では、市場エネルギーのバロメータである総取組高が漸減しており、足元の円安がショート・カバー主導によるものであることを示唆している。

この点からは自律反発一巡後の動向が重要となり、同市場の総取組高が円安進展と同時に売買高を伴って増加に転じるまでは、失速リスクに対する警戒も怠らないようにしたい。 

(4月18日 11:15記)

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