
アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。
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昨日の為替マーケットの主役はユーロ/ドルであり、3月のユーロ圏CPIが前年比+3.6%と過去最高の伸びとなり、ECBのインフレ目標(2%に限りなく近い1%台)を上振れたため年内の利下げ観測の後退を手掛かりに買われた。
もっとも、チャートを見ている人は「アセンディング・トライアングル」(強気の三角保ち合い)の“上放れ”のタイミングを探っていたわけであり、材料は何でも良かったのである。
ユーロ/ドルは、波動目標として掲げた1.5954j処(=1.5341+【1.4310⇒1.4923】)を達成し、NY中盤には1.5980jまで続伸幅を拡大した。 アセンディング・トライアングルの完成に伴うフォーメーション・ターゲットはこの限りではなく、目先的には1.5900j台の値固めが想定されよう。順当ならば、これまでレジスタンスとなってきた1.5900j処がサポートに転換することになる。
また、ユーロ/円は“円弧”を上抜いて162.50円まで急伸し、波動目標として掲げたN-計算値の162.99円処(=156.34+【151.70⇒158.35】)を射程圏に捉えている。
先週末のワシントンG7声明は、主要通貨の為替変動に懸念を示したものの、英国が最後まで文言変更に難色を示したと伝えられており、「ファンダメンタルズを反映すべき」との常套句を削除したところにG7間の意見の対立と抵抗を見出すことができよう。 (⇒トリシェECB総裁はG7の為替声明を“ポエムだ”と表現していたが、筆者の第1印象は“ショート・コント”で思わず笑っちゃいました。)
一方、ドル/円は欧州序盤に100.83円まで下落する場面がみられたが、良好な米企業決算や欧米株の上昇に連れて101.89円まで急速に買い戻されている。 筆者が重視する日足均衡表の『遅行線』は同じ時間軸の日々線に到達しており、いよいよ本日のNYクローズの値位置が重要となってくる。 現状では『転換線』(=101.44円処)や『21日平均線』(=100.92円処)がサポートとして機能しているが、ここがNYクローズで破られる場合は注意しなければならない。
さて、足元では「株高・債券安(金利は上昇)」が鮮明となっており、15日(火)のコメントで採り上げたマネージド・フューチャーズと呼ばれるヘッジファンドの強気シナリオが的中していることになる。
ここにきて米欧主要金融機関のCEOが相次いで「金融危機の最悪期は過ぎた」との見通しを披露しているほか、15日にはOECDがサブプライムローン問題に起因する世界の金融機関の損失額が向こう2年間で最大4,200億jに達するとの試算をまとめ、IMF予測の損失額9,450億jは過大な推計だと批判している。
こうした状況下、米国株の代表的な投資家センチメント・インディケーターであるVIX指数(別名「恐怖指数」)は20.53と昨年12/27以来の水準へ低下するなど、投資家心理は大きく改善している。
昨日発表された3月の米住宅着工件数は前月比▲11.9%の年率94.7万戸と、1991年3月以来17年ぶりの低水準となったほか、ベージュブック(米地区連銀経済報告)は経済状況が全米の大部分で悪化し、食品・燃料・原材料の物価圧力が高まったと指摘されたが、良好な米企業決算に目を奪われ市場の反応は限定的だった。
たしかに、JPモルガン・チェースの1−3月期決算は利益が半減したものの、他の金融大手ほどの損失計上は回避しており、米主要3株価指数は揃って2%超の上昇で取引を終えている。
しかも、米長期金利の指標である10年債利回りが2月末以来の3.7%台に上昇したことや、今月末のFOMCでの50bpの追加利下げ期待が後退するといった逆風にもかかわらずである。
とはいえ、JPモルガン・チェースの貸倒引当金計上額は、以下に示す通り段階的に拡大している。
<JPモルガン・チェースの貸倒引当金計上額>
2007年 1Q=10.08億j 2Q=15.29億j 3Q=17.85億j 4Q=25.42億j
2008年 1Q=44.24億j
つまり、勝ち組であるJPモルガンであっても、マクロ景気の悪化に伴う影響は避けられないという現実を示しており、本日発表のメリルリンチや明日のシティグループの決算は要注意といえそうだ。
(お知らせ: バンカメの決算発表は18日から21日変更されています)
ちょうど昨晩のワールド・ビジネス・サテライトでは、「サブプライムの影@広がる貸し渋り」という特集で3割以上の銀行が融資基準を厳格化し、貸し渋りがこの半年間で4倍に達しているという現状を報告していたが、90年代の日本でもみられた「バランスシート調整」の始まりを警戒させていた。
昨日発表されたメリルリンチの「世界のファンドマネジャー調査・2008年4月」によれば、3月までみられた過度のキャッシュ比率上昇は改善しているものの、「信用リスク」「カウンターパーティ・リスク」「景気サイクルリスク」の3つが潜在的リスクの上位を占めており、予断を許さない状況にあることは念頭に置いておきたい。
(4月17日 11:25記)