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森 好治郎

アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。

04月10日 12:40 モラトリアム(猶予期間)相場は時間切れ!?

信用収縮問題の早期収束期待で再開しつつあった市場のリスク選好フロー(株高・円安)も、相次ぐ悪材料を無視し続けることができず、ついに息切れの様相を呈している。

IMFは昨日発表の最新の世界経済見通しで、08年の米国の成長率を0.5%と予測し、1月時点の1.5%から大幅に下方修正した。 さらに「緩やかな景気後退に入る」とし、09年も0.6%の低成長が続くとの厳しい見通しを示した。

バーナンキFRB議長は、年後半の景気回復に期待を滲ませていたが、最新のIMF予測はL字型の低成長が続くとの民間予測に近いものであった。

また、軽視できないのが世界経済の成長率見通しも3.7%と1月時点の4.2%から下方修正されたことである。 IMFは08年―09年の世界経済の成長率が危険水域とされる3%以下に落ち込む確率が25%あるとしており、FEDによる米景気回復見通しの前提が揺らぎ始めたことを示している。

米経済や世界経済の悪化見通しは、個人消費や企業設備投資の減少を通じて住宅や商業用不動産などの資産価格の下落を促すことになり、IMF「世界金融安定性報告(04/08)」で示された金融機関の損失推計額の9,450億jが現実味を帯びてくる。

昨日の米株式市場では、ゴールドマン・サックスのレベル3資産(⇒時価評価の困難な資産)が第1四半期(07年12月−08年2月期)に前期から39%増加したことがSEC(米証券取引委員会)提出文書で明らかになり、金融株が再び全面安となっている。

FRBはこの日、04/10入札のプライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)向け証券貸出制度(TSLF=ターム証券貸出制度)の規模を500億jと、前回04/03の250億jから倍増させており、金融機関が引き続き資金を必要としていることを裏付けている。 これは、主要金融機関がバランスシート調整(⇒新BIS規制バーゼルUに基づく自己資本比率維持のため)を余儀なくされていることと無関係ではなく、金融市場は引き続きかなりの緊張状態にあることを意味している。

白川日銀新総裁は、足元の国際金融市場の動揺について「米欧の金融環境はタイト化している」との認識を示した上で、「現在の金融市場は“リスク再評価”の過程であり、調整にそれなりに時間がかかる」、「さらに金融市場の中で完結するわけではなく、実体経済の調整も合わせて起こることになる」と述べている。

“リスク再評価の過程”というのがG7各国の政策当局に共有されている捉え方であり、住宅バブルおよびクレジットバブル崩壊による必要な調整が促されているという認識となってくる。

昨年8月の「パリバショック(08/09)」をきっかけに広がったサブプライム危機を野球に例えて、この4月が9回でゲームセットとする見方も存在していたが、どうやら延長戦に備える必要が生じている。

FEDによる流動性対策(=セーフティネット)が「第2のベアー」発生リスクを後退させているが、リスク再評価に伴う主要金融機関のバランスシート調整圧力などを如何に軽減するかが政策当局の優先課題となってこよう。 こうした状況下では、グローバル・マネーが「キャッシュ化(=手仕舞い)」「質への逃避(=安全志向)」「ホームバイアス(=母国回帰)」に傾斜しやすくなる点は念頭に置いておきたい。

尚、本日はMPC(英金融政策委員会)、ECB定例理事会・トリシェECB総裁-記者会見、米2月-貿易収支、米新規失業保険申請者件数(週次)、バーナンキFRB議長-講演―――など、重要イベントが目白押しとなっているため、時間単位での乱高下の可能性には注意したい。

(4月10日 11:30記)

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