
アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。
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昨日のドル/円は欧州序盤とNY序盤に102.95円まで上昇する場面がみられたが、米新規失業保険申請者件数のネガティブ・サプライズで102.07円へ急落、3月のISM非製造業景気指数が事前予想ほど悪化しなかったことから102円Midへ買い戻され、NYクローズは102.26円で着地している。 テクニカル分析の知識をお持ちの方は“ちょっと嫌な感じ”を抱いたに違いない。
まず、昨日の高値102.95円は、Fibonacci retraceの102.99円処(=38.2% of 114.66⇒95.77)の手前で“2回”跳ね返されている。
30分足チャートでは、同値の高値102.95円で抑え込まれる“上値行き詰まり”の「毛抜き天井」パターンを示唆している。(⇒日足では上ヒゲの長い「十字線」に近い足型を出現しており、本日の値動きが重要となってくる)
13日RSI(相対力指数)は短期的な過熱感(高値警戒)を示唆する73%まで上昇しているが、80%台へ乗せてくれば「70%は売りも80%超は買い」との経験則から“強気姿勢”を維持することになる。 しかし、80%台に乗せることなく70%台を割り込む場合には、“急落リスク”に備える必要がでてくる。
昨日のコメントで採り上げたIMM日本円通貨先物市場の総取組高は、4月4日から2日連続で減少していることが明らかになった。
IMMファンド筋は、3月25日時点で過去最大の円ロングを抱えていたが、ワシントンG7といった重要イベントに向けて利益確定の持ち高縮小に動いていると捉えることもできよう。
また、売買高の増大を伴っていれば、ニューマネーによる円ショート構築の証左とすることもできるが、足元の売買高は過去10日の平均を若干上回る程度にとどまっており、市場エネルギーの増大を感じさせるには至っていない。
つまり、足元のドル高・円安の原動力は円ロングのアンワインドを主体とする消極的な動きと解釈することができ、持ち高調整一巡後の展開が重要となってくる。
この場合、市場の関心は再び米国経済のファンダメンタルズや金融機関のバランスシート調整に向かうことになろう。 米景気見通しについては、バーナンキFRB議長が「今年前半はマイナス成長の可能性もある」と2日の議会証言で述べており、改善に向かう前に一段の悪化を想定しておく必要がありそうだ。
特に雇用関連の統計は遅行指標であるため、ネガティブ・サプライズを誘発しやすい。
昨日発表された3月29日までの週の米新規失業保険申請者件数は、40.7万件と前週比+3.8万件の大幅増で、2005年9月以来の高水準となった。
また、米雇用動向を最も良く映す失業保険申請件数の4週間移動平均は37.45万件と、こちらも2005年10月以来の高水準となっている。
本日、米労働省から発表される3月の雇用統計は、米新規失業保険申請者件数の大幅悪化を示した3月29日までの週のデータを含まないため、予想ほど悪くないとの反応が想定されるかもしれないが、NFP(非農業部門雇用者数)が3ヶ月連続で減少を示す場合には持続的なドル買い材料とはなりにくい。
今週は米国経済の重要先行指標とされるISM(製造業/非製造業)景気指数が発表され、事前予想を上回る底堅さが示されている。
景気指数を構成する内訳では、製造業・非製造業ともにドル安の恩恵を受けた「輸出」に支えられる構図となっている。
バーナンキFRB議長は、2月末の半期・議会証言で「世界の主要中央銀行が金融政策で協調することは予期していない」、「柔軟な為替制度で各国の独立した金融政策が可能になっており、これは柔軟な為替制度による利益の1つだ」と述べている。
一部メディアやアナリストは、米国との協調利下げやドル安阻止で協調介入の必要性を指摘していたが、バーナンキ議長の発言は明らかにポリシー・ミックスとしてのドル安を念頭に置いた発言となっている。 米政策当局にとって警戒されるのは、ドル安が制御不能な長期金利の急騰をもたらすことであるが、足元の米長期金利は右チャートが示す通り低位で推移している。
バーナンキ議長は先の議会証言で「公的機関のドル離れは起きていない」、「米国への必要な資本流入が続くと予想している」と明言したが、今朝発表されたカストディ・アカウント(外国政府代理勘定)は、右グラフが示す通り、米国債を購入するための潤沢な資金が流入していることを示している。
つまり、米政策当局にとって喫緊の課題はドル安を阻止することではなく、金融システムの維持と景気後退リスクの緩和ということになる。
このため、日欧の通貨当局は為替問題についてドル安をダイレクトに非難するのではなく、過度な変動は好ましくないというメッセージを発信しており、緩やかなドル安が容認されているとの認識が必要かもしれない。 今朝の日経新聞一面の「景気足踏み 岐路の日本経済−2−」では、「世界経済のけん引役だった米経済の負ったダメージをドル安を通じて世界で分け合う過程といえ、日本もその構図から逃れられない」との見方を示している。 モラトリアム(猶予期間)相場の一巡後のドル安再開は念頭に置いておきたい。
(4月4日 11:25記)