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森 好治郎

アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。

04月03日 12:19 ワシントンG7に向けたモラトリアム相場!?

グローバルなマネーフローは今月に入って目まぐるしい変化を示している。

4月1日はドルと株式が全面高となる一方、これまで質への逃避(⇒ドル安の受け皿)で買われてきた債券と原油・金などコモディティーが全面安となっていたが、昨日は原油・金などコモディティーが全面高となる一方、ドルが円を除く主要通貨に対して全面安となっている。

「株高・商品高・非ドル通貨高」と「債券安(=金利は上昇)・ドル安・円安」の組合せは、グローバルなマネーフローがリスク志向に傾斜している時の典型パターンである。

「ベアー・スターンズ・ショック(03/16)」という米大手証券の事実上の破たん処理に発展した金融危機は、FEDによる大恐慌以来となる流動性供給策(⇒連銀窓口貸出制度PDCF)の創設でセーフティネットが張られ、同様の危機は回避されるとの安心感が浮上している。 そして、スイス銀行大手UBSによる増資計画を伴う損失処理や米証券大手リーマン・ブラザーズの優先株(⇒信任投票)に対する強い需要がクレジット危機を乗り切れるとの期待感につながっている。
 
折りしも、来週末にワシントンG7会合を控える状況下、英FT紙(04/01電子版)は「金融安定化フォーラム(FSF)がワシントンG7に提出予定のリポートで金融機関の国有化を視野に入れた公的資金注入による総合的な支援策を盛り込んでいる」と報じている。

ワシントンG7での金融危機対応に向けた協調策への連想が、4月1日にみられた事前のポジション調整(⇒ドル買い戻し)を促す手掛かりになったと推測することができよう。

事実、インターバンク市場の縮図でもあるIMM日本円通貨先物市場の4月1日の動きは、ドル高・円安が加速すると同時に、総取組高が急減している。 これは、IMMファンド筋の膨大な円ロングのアンワインド(⇒持ち高解消)が促されたことを示唆している。(⇒この点については今週末に発表されるCFTCの建玉報告で判明する)

ここで注目されるのは4月2日の総取組高であり、明日早朝に公表される4月2日の総取組高が増大している場合は、円ロングのアンワインドを上回る円ショート構築の動きが生じている証左となる。

昨日は、3月のADP全米雇用報告・民間雇用者数が前月比+8千人と、大方の予想を覆して増加したことで米労働省発表の雇用統計に対する弱気見通しが後退している。

そして、注目のバーナンキFRB議長の議会証言では、米経済の成長見通しについて「2008年前半の成長率は大幅な伸びは見込めず、わずかにマイナスになる可能性もある」「景気後退も起こり得る」との厳しい認識が示されたが、米債券市場では全面安となりすべてのタームで金利が上昇するなど驚くべき反応を示している。 (⇒米10年債利回りは3月17日の3.298%をボトムにして3.606%へ上昇)

金融当局トップがはじめて景気後退の可能性に言及したにもかかわらず、金利が低下するどころか上昇に転じていることは、マネーフローの潮目が変わっていることを示唆する証左でもある。

市場の金利観を反映するFFレート先物市場では、今月末のFOMCで50bpの追加利下げが実施される確率が今週明けの52%から昨日は12%まで急低下している。

2月末に行われた半期・議会証言では、「中小金融機関の多少の破たんを予想する」と述べていたが、昨日の証言では「第2のベアー」の可能性を否定している。 また、2月末の証言では当面の金融政策について「必要に応じて迅速に行動する」と述べ追加利下げの可能性を示唆したが、昨日の証言では「これまでの利下げが成長を下支えし、経済活動のリスクを和らげる」と述べるにとどまっている。
 
こうした発言が大幅利下げ期待を後退させ、米景気後退についてもマイルドなものにとどまるとの楽観論を浮上させているようだ。 つまり、「第2のベアー」発生危機の低下に加え、米経済が深刻なリセッションではなくマイルドなものにとどまれば、世界経済のリ・カップリングのリスクを想定する必要も低下することになり、グローバル・マネーは景況感格差や金利差に着目(⇒通貨取引の優劣を決定)することになる。

これが4月1日の値動きと異なる4月2日のリスク志向に傾斜した相場展開と解釈することができよう。

こうした状況下、ドル/円は一時102.84円まで続伸幅を拡大し、NYクローズベースで『基準線』を上抜いている。 今週の『森レポート(全12頁)』P.7では、NYクローズが『基準線』を上抜いた場合について、「NYクローズで『基準線』を上抜くことができれば、『遅行線』が日々線を上抜く可能性も高まり、強力な“強気シグナル”を点灯することになる」と述べたが、NYクローズの軌道を示す『遅行線』の動向に注目したい。

『遅行線』が日々線を上抜ける(⇒強力な買いシグナル)場合には、114.66円(12/27)を起点とするMajor下降チャネルラインを上抜く可能性も高まるため、一段高の可能性に備える必要が出てくる。

逆に『遅行線』が日々線に衝突し同調する場合には、急落リスクが一気に高まるため、上向きの『転換線』のサポート力が試されることになろう。 今週末の動向が極めて重要となっていることは念頭に置いておきたい。

(4月3日 11:50記)

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