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森 好治郎

アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。

03月28日 12:32 信用不安の広がりがリスク回避を促す

昨日のドル/円は、東京序盤に98.56円まで下落する場面がみられたが、本邦当局による覆面介入実施(?)の思惑もあってテクニカル的に重要な98.45円処のブレイクは回避され、NY序盤には米指標を好感した買いで100.17円まで上昇した。

米10−12月GDPで個人消費支出が前期比+2.3%と前回発表の+1.9%から0.4ポイント上方修正されたことで、米経済に対する過度な悲観をやわらげる格好となった。

また、米新規失業保険申請件数(03/16−22)が36万6千件と、前週から9千件減少したことが雇用に対する安心感を浮上させた。

しかし、今回発表のGDP統計はすでに過去の数字であり、今年1月以降の経済指標は信用収縮不安の悪影響が実体経済へ波及する形で悪化していることを示しており、FOMC声明の景気に関する記述は「経済活動の見通しは一段と悪化した」、「与信条件の厳格化と住宅収縮の深刻化がこの先数四半期にわたって経済成長を圧迫する可能性が高い」との認識を示している。

また、新規失業保険申請件数についても、雇用市場の基調をより正確に示すとされる4週間移動平均は3週連続で増加(⇒悪化)しており、持続的なドル買い材料とはなり得ない。

ユーロ/ドルが、3月24日の安値1.5341jから3月26日の高値1.5859jまで最大518ポイントの急騰劇を演じた直後であり、利益確定売りが生じたとしても不思議ではない。

重要な点は持続可能な相場トレンドの方向性であり、現状のように信用不安の広がりが弱気センチメントを支配する状況下では、リスク回避フローが促されることになる。

リスク回避フローの基本パターンは、「キャッシュ化(手仕舞い)」「質への逃避(安全志向)」「ホームバイアス(自国資産選考)」であり、経常黒字国に通貨高圧力が掛かりやすくなってくる。

昨日のドル/円は、直近の上げ幅に対する61.8% retraceの100.09円処を達する100.17円まで戻したあと、米投資銀行リーマン・ブラザーズの経営難の噂で99.32円処へ急反落するなど、“ボラティリティー・トレーディング”に適した神経質な値動きが続いた。

この噂は、リーマンがベアー・スターンズと同様に資金繰り問題に直面する恐れがあるというものであったが、現状ではひっ迫した信用状況の緩和を目指すFRBの流動性供給策として、プライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)向けにターム証券貸出制度(=TSLF)や連銀窓口貸出制度(PDCF)が創設されており、「第2のベアー」が浮上するリスクは抑えられているといえよう。

昨日は、FRBがプライマリーディーラー向けに新設した証券担保貸付制度の一回目の入札結果が発表された。 結果は750億jの貸付額に対して1.15倍の応札倍率に留まり、ひとまず資金繰り悪化懸念を後退させる格好となっている。

しかし、連銀窓口貸出制度(PDCF)を通した大手証券への貸出残高は総額370億jと、借入額は前週比で2倍以上に膨らんでおり、資金繰り難が続いていることを示している。

こうした背景には、米大手金融機関が住宅ローン関連以外でも評価損計上を迫られているという事情があり、金融機関の自己資本毀損(不足)が新たな貸し渋りにつながり、金融市場全体の流動性を低下させるといった悪循環が想定されてくる。

こうした悪循環が一段のリスク回避を促す要因となるため、米大手金融機関の決算発表に向けてドルの底割れリスクには留意したい。

(3月28日 11:25記)

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