
アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。
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イースター・マンデー明けを起点に再開したドル売りは、景況感の改善を追い風とするユーロ主導でドル全面安に拍車が掛かっている。
昨日のユーロ/ドルは、独3月IFO景況総合指数が大方の低下予想を覆して“3ヶ月連続の改善”を示したことや、トリシェECB総裁が欧州議会証言で“インフレ期待抑制を最優先課題”とする断固たる政策スタンスを明示したことから、ユーロ買いが一気に強まった。
これに対して米国では、2月の耐久財受注で設備投資の先行指標となる非国防資本財(民間航空機を除く)の受注が予想外の減少となり、米経済の健全性に対する懸念と一段の利下げ観測からドル売りを強める格好となった。
独IFO業況総合指数は、ECBの金融政策の方向性を予測・分析するうえで、金融市場から最も大きな注目を集めている指標の一つであり、米欧間の明確な景況感および金利格差がユーロ買い・ドル売りフローを正当化している。
そして、サブプライムローン問題に端を発した信用収縮問題の深刻化や長期化が、リスク回避フローのドル売りを正当化しており、ファンディング通貨の日本円やスイスフランが買い戻されている。
(⇒ドル安の受け皿として原油や金が再び騰勢を強め、コモディティー通貨も買い戻されている)
ゴールドマン・サックスは米金融機関の損失について、商業用不動産融資やクレジットカードなど消費者ローンにも広がり、損失額は4,600億jに膨らむとの試算を発表している。
このほか、オッペンハイマーが発表した投資判断によれば、シティグループは1−3月期に新たに131億jの評価損の発生が懸念されているうえ、UBSなど大手6社で約373億jの評価損発生が見込まれており、早くも4月中旬に発表される銀行決算に対する警戒感が高まっている。
こうした2つのマネーフローがドル下落を促す構図となっており、米経済が1930年代の世界恐慌以来の危機といわれているだけに、ドル安トレンドの転換は容易ではなく、過度な変動のピッチ制御が当面の焦点となってこよう。
昨日、トリシェECB総裁は足元の金融市場の混乱について「最悪期を脱したとは言わない」と述べていたが、G7当局の間では@現状はリスク再評価の過程である、A調整には時間を要する、Bその過程で金融機関などの損失が生じることは避けられない、という共通認識が存在している。
リスク再評価が進展し金融機関の損失に目処がつかない限り、公定資本注入の議論はモラルハザードを引き起こし、かえって混乱を招くことになりかねない。
ポールソン米財務長官が、「住宅価格の下落は不可避」だとし、当局者は介入せず経済への影響を最小限にするよう努力すべきとの見解を貫いているのはこのためである。
ベアー・スターンズ救済合併(03/16)は、「1株2jでの身売り」という株主責任の明確化により公的関与に道筋を付けるスキームであったが、これを不服とする株主側の反対で株価が引き上げられる一方、市民団体からはNY連銀の特融に抗議するデモが起こるなど、公的関与が時期尚早であることを示している。
公的関与を望む声がコンセンサスとなるまでには、一段の痛みを伴う必要があるのかもしれない。
市場ボラティリティーの高まりが先行き波乱を暗示しており、われわれFXトレーダーは“ボラティリティー・トレーディング”に徹する必要がありそうだ。
(3月27日 11:30記)