
アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。
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イースター・マンデー明けで欧州勢の動向が注目された昨日のマーケットは、連休前のテーマに回帰する形で米ドルが全面安の展開となった。
この日発表された米経済指標で住宅価格の大幅な下落や消費者信頼感の落ち込みが示され、ドル売り再開を後押しする格好となった。
まず、1月の住宅価格指数<S&P・ケースシラー>は全米主要10都市ベースで前月比▲2.3%の196.06となり、前年同月比では▲11.4%と13ヶ月連続のマイナスで下落率は1987年の調査開始以来最大に達する厳しい内容となった。
(⇒全米主要20都市ベースでは16地域で前年比の下落率が過去最大となっている)
また、住宅価格先物市場では一段の価格下落が織り込まれており、前日発表の2月-中古住宅販売件数<リアルター協会>が示唆した“底入れ期待”は、わずか1日で“失望”に変わっている。
続いて発表された3月の消費者信頼感指数<コンファレンスボード>は前月比▲11.9の64.5と、2003年3月以来5年ぶり低水準へ急激に落ち込んでいる。 期待指数も前月比▲10.1の47.9と、2ヶ月連続で10ポイント超の大幅な落ち込みとなり、1974年1月以来の低水準に達しており、先行き不透明感を増幅する内容となっている。
こうした状況下、米ドルは全面安を余儀なくされたが、米株式市場ではNYダウが小反落しただけで、NASDAQとS&P500が続伸するなど米主要3株価指数は意外な底堅さをみせている。
これは、米金融当局による積極的な流動性供給策や金融システム安定化策に対する期待が背景にあり、最終的にはバーナンキ議長が助けてくれるという「バーナンキ・プット」の存在を指摘することができよう。 グリーンスパン前FRB議長の時代から米金融市場には、難局の兆候に対してFEDが積極的に対応してくれるという期待感が染み付いており、当時はこれを一種の保険になぞらえて「グリーンスパン・プット」と呼んでいた。
足元では、「ベアー・スターンズ・ショック」という米大手証券の事実上の破たん処理にFEDが積極的に関与しているうえ、住宅ローン担保証券(ケチャップ)と米国債を交換して証券会社に資金供給する貸付制度を創設するなど、バーナンキFRB議長は積極的にアクションを起こしている。
こうした異例の措置は、従来の大幅利下げに代わる金融危機対策の強化と解釈されるに至り、市場の大幅利下げ期待の後退がイースター休暇前のドル買い戻しを促したと読むことができよう。
信用収縮不安が悪循環を招く状況下では金融緩和効果が減殺されるというジレンマがあり、3月18日のFOMCでは75bpの利下げを決定し、市場が期待する100bpの大幅利下げに対する満額回答を避けている。
これは、際限のない利下げに歯止めを掛けたいとのメッセージでもあり、市場の金利観を反映するFFレート先物市場では、次回4月のFOMCで75bpの大幅利下げが織り込まれつつあったのが、24日までは25bpの利下げがコンセンサスとなりつつあった。
しかし、昨日発表された2つの米経済指標を受けて市場の利下げ要求が再燃し始めている。
現在のFFレートの誘導目標は年2.25%と、コア消費者物価指数(CPI)の上昇率をデフレートした実質政策金利はマイナスの領域に突入しており、一段の利下げはインフレ昂進とドル急落のリスクを招く恐れがある。 バーナンキ議長はこうした事態をどう打開するのか、早くも試されようとしている。
(3月26日 11:30記)