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森 好治郎

アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。

03月25日 13:31 モラトリアム(猶予期間)による自律調整

週明けの為替マーケットは、米中古住宅販売の好転やベアー・スターンズの買収価格引き上げを好感したNYダウの大幅高で高金利資源国通貨が全面高となる一方、日本円やスイスフランが全面安の展開となった。

リスク選好を示す典型的な資金フローであり、米金融市場では債券から株式への資金シフトが顕著となり、先週加速した“質への逃避”の動きは収まっている。(⇒先週は3ヶ月物財務省短期証券TBへの資金シフトが顕著となり、TBの利回りは1954年以来の低水準に落ち込んだ)

一方、ドル安の受け皿として最高値を更新し続けてきた原油や金は続落するなど、水準面での自律調整は継続しており、昨日のユーロ/ドルは原油安に連動して一時1.5364jまで急落する場面がみられた。(欧米タイムでは乱高下)

24日付の投資週刊誌バロンズは、「Hitting Bottom?(いよいよ底打ちか?)悪材料を織り込んだ金融セクター」といったタイトルを掲げ、強気見通しの根拠をいくつか披露している。

その主な要因は、@FRBによるベアー・スターンズ救済、A大幅利下げ(実質マイナス金利)、B投資銀行への新たな貸出制度の創設、C住宅金融公社の住宅ローン債権買い取り限度額引き上げ―――などであり、上手くいけば最大の功労賞はバーナンキFRB議長となる。

一部市場参加者やメディアは、2月末のバーナンキFRB議長の半期・議会証言での発言を「KY(空気が読めない)」だとか「失言」扱いしていたが、森レポートでは「周到な準備と緻密に計算された上での発言であったはずであり、軽視することはできない」との見方を示してきた。

それは、バーナンキ議長が日本の経済失政から金融混乱時の政策対応は迅速かつ大胆さが必要であることを熟知しており、過去の金融危機が“バランスシート調整”へ発展した局面では、実体経済への波及も免れないことをもっとも警戒しているからである。

バーナンキ議長はかつて(議長就任前)「日銀はケチャップを買ってでも(流動性を供給せよ)」と語っていたが、先週新たに創設された証券会社に対する貸出制度は売るに売れない住宅ローン担保証券(MBS⇒ケチャップ)を担保に資金繰りを助ける措置である。
 
現時点ではケチャップを買うまでには至っていないが、債券王の異名をとるビル・グロス氏は「最終的にはFRBがMBSの購入に動くだろう」と述べている。

2月末の半期・議会証言で厳しい認識を示しただけあってバーナンキ議長は実際にアクションを起こしており、バロンズが報じたような動きが生じているといえるかもしれない。

とはいえ、FEDが尋常ではない政策に踏み込まざるを得ないむほど事態は深刻であり、現状は米大手証券の決算一巡を受けたモラトリアム(猶予期間)による市場の自律調整的な動きと捉えておく必要がありそうだ。

昨日発表された米2月中古住宅販売は、販売戸数が年率503万戸となり、7ヶ月ぶりの増加に転じたが、前月が統計開始以来の最低水準を記録していたことからすれば、一時的な反動増に過ぎないとの見方もできる。
 
2月の販売在庫は403万戸と現在の販売ペースで9.6ヶ月分に相当しており、適正在庫に戻すには6割増の販売が必要とされており、一段の住宅価格の下落が必至の情勢となっている。

こうした状況下、本日はS&Pケース・シラー住宅価格指数、明日は新築一戸建て住宅販売が発表されるため、中古住宅販売でみられた改善が他の住宅指標でもみられるかどうか早速、試されることになる。 今週はこのほか米耐久財受注(設備投資の先行指標となる非国防資本財の受注に注目)や、FRBがインフレ指標として注視するコアPCE価格指数が発表されるうえ、来週には米国経済の重要先行指標であるISM製造業景気指数、そして注目度の高い雇用統計を控えており、モラトリアム相場が短命に終わる可能性は念頭に置いておきたい。

(3月25日 11:30記)

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