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森 好治郎

アナリスト森 好治郎 氏のマーケットウォッチをアーカイブしています。

11月28日 11:35 中東マネーが動いた意味合いを考える!?

金融の混乱が新たな局面に入るとの懸念が広がるなか、米銀最大手シティグループがアブダビ投資庁(ADIA)から出資を受けるとの報道(27日の正午頃)が伝わり、GLOBEX米株価指数先物の大幅反発、クロス円にも猛烈な買いが入り、「株安・円高」の悪循環にひとまず歯止めを掛ける格好となった。

米シティグループは、サブプライムローン関連で最も巨額な損失を出しており、傘下のSIV(ストラクチャード・インベストメント・ビークル=オフバランスのデットのポートフォリオ)が連結対象になれば巨額の追加損失を迫られ、著しい自己資本毀損は必至と懸念されていた。

“Too big to fail”(大き過ぎて潰せない)―――最悪期とされる来年1月末から2月半ばに向けて、公的資金注入の可能性も否定できないといわれていたが、UAE(アラブ首長国連邦)がホワイトナイトとして登場したわけだ。

UAEのアブダビ投資庁(Abu Dhabi Investment Authority)は、世界最大のSWF(ソブリン・ウエルス・ファンド:外貨準備の運用機関)であり、中東の盟主でもある。

折りしも、短期金融資本市場は年越えの資金需給のひっ迫で2ヶ月物金利が6年半ぶり高水準を更新、これに対してECBは年明けまで通常以上の流動性を供給すると表明、FRBも異例の声明で11/28〜01/10までの43日間の年越えオペ80億jの実施を柱とする年末対策を発表するなど緊迫状態にあった。 特に、短期資金に依存するSIVにとっては最も困難な時期に直面していたわけであり、こうした状況下での米シティグループへの出資報道は最高のタイミングであったとすることができよう。

また、12月上旬にはペルシャ湾岸の主要産油国が各国通貨のドルペッグ制を維持するかどうかを協議する首脳会議が行われる予定となっており、今回のアブダビ投資庁による米銀への出資は「中東マネーのドル資産離れ」という憶測を払拭する狙いもあったといえよう。

ドル下落に歯止めを掛けることができれば、UAEなど産油国は保有する膨大なドル建て資産の目減りを防ぐことができるうえ、インフレ高進リスクを抑止する効果も期待できる。

つまり、今回の米シティグループへの資本参加(⇒年利11%の有価証券)は単なるバーゲン・ハント的な投資という側面だけでなく、自国が保有するドル資産の防衛とインフレ抑止、さらに米国政府に対するアドバンテージを有すことにもなり、一石四鳥の相乗効果を秘めているといえよう。

もっとも、米シティグループ一社に対する出資だけでサブプライム問題が収束に向かうとは考えづらい。
サブプライム問題の帰趨を見極める上でSIVやコンデュイットを巡る動き(⇒こられの区別すら理解できていないアナリストが2008年の相場展望を語っていることには驚かされるが・・・)は無視できず、さらに足元ではモノライン(金融保証専門会社)が新たな火種として意識されつつある。

しかし、今回のアブダビ投資庁による米投資銀行への信認投票は、投資先を虎視眈々と狙う世界のSWF(外貨準備の運用機関)に先鞭を付けたと解釈することもできよう。

26日(月)の東京ランチタイムでは、「中国政府系ファンドが日本株投資に踏み出す」との報道が話題になったが、2008年の市場テーマの一つとしてヘッジファンドを凌駕するSWFの動向を外すことはできない。

こられについての情報収集を重点的に行い、週刊『森レポート』で採りあげていきたい。

(11月28日 11:15記)

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