
2008年は残すところあと6日、激動のマーケットは静かに幕を閉じようとしている。
世界の株式市場は全面安となり、約28兆jの時価総額が消失したといわれている。
金融危機の震源地である米国では、信用収縮に伴うドル資金のひっ迫により、米系マネーのリパトリエーションが活発化し、米ドルは日本円とスイスフランを除く主要通貨に対して全面的に買い戻される展開となった。
そして、ファンディング通貨の位置付けにあった日本円は、リスク回避をテーマに円キャリー・トレードのパニック的な巻き戻しを余儀なくされる場面もあり、全面的に買い戻された。
2008年の世相を表す漢字が「変」とされたように、マーケットでは過去数年に亘って蓄積された様々な歪み(バブル)が強制的に解消され、パラダイムの変化や転換が生じている。
(因みに2007年の漢字は「偽」)
パラダイムの変化は危機を伴い、危機が転換を促進する。 「100年危機」の真相は実体経済以上に肥大化した金融バブルの自戒(収縮)であり、世界経済およびマーケットは混乱と困難かつ緊迫したプロセスの途上にあるといえよう。
痛みを伴う調整は、金融に振れすぎた振り子が正常化へ回帰するプロセスの摩擦でもあり、我々市場参加者はこうした前提に立った上で2009年の相場展望を行う必要がありそうだ。
毎年この時期になると書店には翌年の相場見通しを行ったマネー雑誌が山積みされているが、今年のようにボラティリティーが歴史的に高い状況下では1ヶ月先を予測することすら困難であるといわざるを得ない。
そもそもボラティリティーが高いということは、不確実性が高まっているということであり、ましてや「100年危機」といわれる状況下、誰しも経験をしたことのない局面を予測するのは至難の業であるといえよう。 不確実性に伴うリスクを低減する方法は、レバレッジを引き下げて、トレード時間を短縮することであり、この場合は年間の相場見通しは必要ない。
相場分析手法の一つに年間変動率・変動幅という考え方があり、例えばユーロ/円の場合は昨年までの5年間の平均変動率が12.17%、平均変動幅が16.90円となっていたが、2008年の変動率は34.46%、変動幅は56.35円と過去5年の平均値から大きく乖離しているのが実情である。
1週間の平均的な値幅は2.50円程度といわれてきたが、今年後半は1日で7〜10円も変動することもあり、これまでの常識や値頃感が通用する相場環境にないとの認識も持っておく必要があるといえよう。
パラダイムの変化・転換に伴って、FXトレードの手法も変化させる必要があるわけであり、現状では適度に高いボラティリティーを味方に付けたトレーディング相場を楽しむというスタンスで臨んでいきたい。
当レポートは、本日が年内最終となります。 今年は1月4日から12月26日まで通算201本のレポートを発行して参りました。 当レポートでは、具体的な売買シグナルを発信するストラテジー・レポートとは異なり、市場のテーマや注目点を採り上げるように心掛けて参りました。
不特定多数の方々にレポートを読んで頂いているという前提に立てば、投資スタンスやリスク許容度も異なって当然であり、当レポートでは大局観を見失わないために市場のテーマや注目点に重点を置いてきたわけです。 レポートを読んで下さっている方々が、それぞれ自身のストラテジーやポジション状況の点検や判断の際のご参考にして頂ければと考えております。
市場テーマの基本は、経済的な変化や歪みが次にどういう変化をもたらしていくのかであり、そこに機会収益が生まれるものです。 2009年が、皆様にとって素晴らしい年になりますよう心からお祈り申し上げます。 本年1年間ありがとうございました。
(12月26日 11:35記)